さて、そこから3か月あまり経った現在、日中関係と日韓関係は修復の兆しがさほど見られていない。これがどういうことなのかをすこしだけ考えてみたい。
まず日韓関係について。
なぜ安倍首相は一貫して日韓関係について譲り続けている。野田政権より明らかに親韓路線である。その理由は1つだけ、もちろんアベノミクスだ。
アベノミクスは金融緩和によって国内の現金を増やすことから始まるので、結果として円安になる。円安でもっとも打撃を受けるのが、まるで日本の縮小コピーのように日本と基本的な産業構造が似ている韓国である。
その点についてはこれまで何度か触れた(→過去ログ)。
だから、対韓外交でいかに日本側がおもねろうが、安倍政権からもっとも打撃を受けるのが韓国である。安倍政権はほかのこと譲れても、金融緩和路線を緩めることなど100%ありえない。今回が文字どおりデフレ脱却のラストチャンスだからだ。
また、麻生(副総理)=黒田(日銀総裁)コンビのみごとな連携プレーによって、G20ではアベノミクスに大声で抗議する中国と韓国の声を完全に封印している。安倍首相による対米関係の改善などの地均しが功を奏したかっこうだ。
また、G20での完全勝利からもわかるように、安倍政権は中国の孤立化に成功している。中国に関してはまだ関係修復の前段階にとどまっているが、着々と進められていると考えていいだろう。
ただし、計算違いが1つだけある。それは韓国の朴槿恵大統領がどうやら親中的スタンスであるということだ。
北朝鮮が脅威になっている以上、韓国はアメリカと接近してその脅威に備えるというのが普通の考えだと思うのだが、韓国は中国と接近している。また、軌を一にして、中国は北朝鮮に対して公に非難している。
同時に、今回の靖国参拝に対する抗議である。
だが、これはよく考えると、抗議されるのはおかしな話です。「首相は公には参拝しないが、閣僚は各自の判断で参拝する」というスタンスは野田政権となんら変わっていない。違いがあるとすれば、元首相で副首相という「大物」である麻生大臣が参拝したことであるが、実質的に政策としては「右傾化」などに当たるものではない。
言い換えると、「民主党では抗議しないが、自民党では抗議する」というダブルスタンダードに陥っているということだ。
これが意味するのは、対外的に孤立化し、経済成長が鈍化して国内の不満が鬱積している中国と、アベノミクスで経済的に追い詰められている韓国が手を結んで、日本に対抗しはじめたということを意味する。
もう1つ、困った勢力がある。言うまでもなく、日本のマスコミだ。
靖国参拝に関する両国のダブルスタンダードはまるで無視して、今回の件で両国を突っぱねた安倍首相を攻撃し始めたのである。
外交など何も勉強していない民主党の政治家が同調するのは仕方がないにしても、「安倍首相は外交オンチ」と的外れなことを言うマスコミや評論家まで出てきている。「外交オンチ」が彼らであるのは言わずもがなだろう。
それはそれとして、日本外交はこれからどうなっていくのだろう。
図式を単純化すれば、中国=韓国と日本で、北朝鮮への5カ国協議でどちらがアメリカを引き入れるかの勝負になる。もし日本が弾かれて「4カ国協議」で北朝鮮和平が進めば日本は完敗で、今後、東アジア情勢は中国主導で進むことになる。
ただ、安倍政権はTPPにすばやく参加表明をおこない、いちはやくTPP参加の反対勢力となっている自動車業界で手を焼いているオバマ大統領を助けている。このあたりの手の打ち方は本当にみごとだった。当然アメリカは少なくともしばらくは日本に肩入れせざるをえない。
だから、私たちは、日本のマスコミの「情報」は尊重しながらも「論調」は懐疑的に見て、進捗を確かめ今後を考えるべきだ。
いずれにしても、私は今のところ安倍外交には文句なく「満点」をつけたい。

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