最近、アメリカで同趣旨の本が話題になっています。スタンフォード大学のピーター・コーナー博士が書いたThe Fair Society(平等な社会)です。
コーナー博士は、アメリカの社会格差が激化していると述べています(→外部記事リンク)。
Last year the top 1 percent of Americans took home 24 percent of the national income, and the top 10 percent took home 49 percent. As for total wealth, the top 20 percent own 87.2 percent and the bottom 80 percent own the remaining 12.8 percent. More important, about 25 percent of our population now live in more or less severe poverty. Last year, an estimated 50 million people (according to the USDA) experienced hunger at various times during the year, including 17 million children.
「昨年はアメリカ人の上位1%が国内収入の24%を独占し、上位10%が49%を独占した。財産について言うと、上位20%が87.2%を所有し、それ以外の80%は残り12.8%を所有する。全人口の約25%が今や事実上の最貧状態の暮らしぶりであることはもっと重要だ。昨年は、5000万人が年間で何度も飢餓を経験しており、その中には1700万人の子どもが含まれる」
あまり知られていませんが、貧困層の子どもは過酷な運命に見舞われがちで、たとえば生まれるときに、低体重で心臓病や糖尿病になることが多くそうです。貧困層の子どもは2000年より20%も増えています。
数年前から日本でも「80対20の法則」という言葉が広まりました。「世の中の2割が8割のことを決めている」という考え方です。たとえば、「2割の金持ちが富の8割を持っている」などという言い方をされました。
そういった傾向があるのは事実かもしれませんが、それが倫理的な正しいわけではありません。また、富の独占は社会の流動化を妨げます。階層が固定してしまうと、自由競争ができなくなり、実力がある人の活躍の場がなくなります。
それはやがて社会不安を生み出します。
Extreme social distrust, dysfunctional government and civil unrest are also endemic in countries with extreme inequalities of wealth. A recent study sponsored by the New England Complex Systems Institute confirmed what has been known ever since Plato's Republic. There is a strong correlation between economic inequality and social disorder and violence ― witness the recent British riots, although the uprisings in "Arab Spring" countries provide even more dramatic examples. The income disparity in our own country is equally bad.
「また、極端な社会不信、何もできない政府、社会不安などは格差が極端な国で拡がりやすい。ニューイングランド・コンプレックスインスティテュートが後援した最近の研究で、プラトンの『国家』以来ずっと知られていることが確かめられた。それは経済格差と社会混乱・暴力は強い相関関係があるということだ。そのことは最近のイギリスでの暴動を見てもわかる。また、「アラブの春」の諸国で起こっていることは、さらに劇的な具体例になる。我が国でも所得格差は同様にまずいのだ」
本ブログではしつこいくらい扱っていますが、極端な格差のある社会は不幸な社会です。それは今年に入ってもマッキンゼーCEOの論文(→過去ログ)や前回のウォーレン・バフェット氏の手記からも警告されています。
最近、日本では「がんばってお金持ちになるのは良いこと」とか「負け組には理由がある」といった風潮が出てきています。もちろん、それは理屈として否定できることではありませんが、あまりそういったことを極端に進めると、「みんなが幸せでいられる社会が良い社会だ」という観点からはマイナスです。
ただし、平等をあまり推し進めると経済活力が奪われます。平等なら良いというのも言い過ぎで、どこかでバランスをとるしかありません。そのためにも、社会が公正であるように努力しなければならないのだと思います。
