この問題は英文のかたちを正確にとらえられるかどうかを試しています。
英文が複雑に見える場合、その原因としていくつか考えられます。いちばん多いのは文と文が接続詞(whenなど)や関係詞(whichなど)でいくつもつながれて長くなってしまうことです。
単純に「文 when 文」とつながれていればまだわかりやすいでしょうが、とくに、文のなかに文をさらに入れる(挿入と言います)といった処理がなされると、慣れていないとまごまごしてしまいます。
もう1つ文を複雑に見せる原因として、andがあります。andは文と文をつなぐこともできますし、主語と主語、動詞と動詞、形容詞と形容詞といったものや、動詞+目的語と主語+目的語といった文の一部をつなぐこともでき、何と何をつないでいるかをとらえられていないと、足下をすくわれることがあります。
ただ、andの基本的はA and B という単純なかたちです。これにA, B and Cというかたちを加えて基本形として頭に入れておけば、かなりのものが対処できます。
なお、andの仲間としてbutとorとnorなどがあります。
最初の問題から見てみましょう。
(A) Science does and must continually try to bring theory and in fact into closer agreement, and that activity can be seen as testing or as a search for confirmation or disconfirmation.
【語句】
science 「科学」/continually「たえず」/theory「理論」/agreement「同意」/activity「活動」/testing「実験」/confirmation「追認」/ disconfirmation「反証」
この文ではandが3つ使われています。これが文を複雑に見せている原因になっています。
まず最初のandですが、doesとmustという2つの助動詞をならべています。doが助動詞として使われるのは動詞を強調するときで、意味は変わりません。
助動詞のうしろにはかならず動詞の原形が来るので、両方ともtryにつながることがわかります。するとtryまでの意味は「科学はたえず試しており、試さなければならない」の意味だとわかります。
S does and must V の形になっていることを確認してください。
では2番目の and を見てみましょう。
try to bring theory and in fact into closer agreement の部分を見ると、in fact 「それどころか」という副詞句が入っています。
そこで、かっこでくくると try to bring theory and (in fact) into closer agreement となりますが、into closer agreement もやはり副詞句で、and の前には動詞とその目的語(名詞)しかないので、同じ語句がありません。
そこで、考えを変えます。
and をとると、bring theory in fact into closer agreement となり、文法的にOKになります。
ただし、これには問題があります。in fact の位置です。
bring A into B に割り込むかたちで bring A (in fact) into B になりますが、語句のかたまりに語句を挿入する場合は、bring A, in fact, into B のように、カンマ2つで挿入であることを示すのが基本ルールです。
また「理論を、それどころか、より近い一致に持ち込もうとする」となりますが、何が何に対して「それどころか」と言っているのかが明確ではありません。
そこで、前置詞 in か into をとって、bring A and B と bring の目的語を2つ並べていると考えます。これでうまくいかないでしょうか。
削除すべきはどちらでしょう? 正解は in です。into をとると、さきほどと同じ問題が出てきます。
in をとると、and は theory と fact を並べます。try to bring A and B into closer agreement というきれいなかたちになります。意味も「理論と事実をたえずより近い一致に持ち込む」と自然です。
と言うことで、正解は in を削除するでした。
最後の and は文をつないでいるので、「そして」の意味です。
that activity can be seen as testingは「その活動は実験と見なしうる」の意味です。
次の or は as testing と as a search for confirmation or disconfirmation を並べ、as A or as B の形になっています。
この or は前の語を後ろでわかりやすく(あるいは、くわしく)言い換えるときのもので、「つまり、言い換えると」の意味だと考えられます。「実験として、つまり、追認や反証の追求として」という意味になります。
この設問は「やり過ぎ」のレベルです。当日の東大受験生のほとんどが確信を持って答えられなかったと思います。
【試訳】
科学とは理論と事実をたえず一致に近づけようと試みることであり、またそうでなければならない。またそういった活動は、実験すること、つまり、確認や反証の追求と見なしうる。
次の問題は次回、解説します。