昨年の9月に、アメリカで日本語・英語のバイリンガル子育てをしている保護者を対象にワークショップをおこないました。その参加者から寄せられた質問に少しずつ答えていきます。これは、私の先行研究に基づいているものや個人の経験談や私見が混ざり合いますが「ブログ」の性質上、どうかご自分に有益だと思う部分だけ、拾って参考になさってください。

 

昨日の記事でも書いた通り、参加者からの質問に「完璧な(完全な)バイリンガル」という言葉をよく目にしました。

..といっても、90名くらいの参加(希望)者のうちの8名が使っていたので10%以下です。それでもこの「完璧」という言葉が共同研究者の先生、招聘した先生と私の目に止まり、3人で事前に話し合いました。

 

「どうしたら完璧なバイリンガルになれますか。」

 

これは どうしたら「完璧な人になれますか。」と聞かれているのと同じくらい、抽象的で答えにくい質問です。
まず 質問している人が 何をもって「完璧」と見なすかによって変わってくると思います。
 
例えば 言語能力を測る試験で、両言語とも高い数値が出せれば「完璧なバイリンガル」なのか、両言語でどんなことができれば「完璧なバイリンガル」と考えるのかを、バイリンガルを目指す人、バイリンガル子育てをしたい人が明確化する必要があります。
 
子供を「完璧な人(成人)」にしたいと思っている親御さんがいるかどうかわかりませんが、少なくとも私の周りでは「私は完璧な子供を育てたい。」と言っている方や「完璧な大人になりたい。」という子供はいません。
 
「完璧」という言葉があまりにも抽象すぎて、「人」となり「言語能力」を表現するには無理がありすぎます。
 
そこで、私たち3人の回答者は
「完璧なバイリンガル」というのはどういう状態を指していると思いますか。
と逆質問を投げかけてみました。
 
どちらの言語も同じようにできる
日本の大学でもアメリカの大学でも通用する
両方の文化もよくわかり、どちらの言語でも「違和感」なくコミュニケーションが取れる
「サブリンガル」「ダブルリミテッド」ではない人
 
などが出てきました。
そこで私たちは
 
「不完全なバイリンガル」(どちらかの言語が弱い、どちらの言語も弱いなど)は、意味があってそうなるので「不完全=完璧ではない」ということにはならない、という話をしました。
 

これはつまり、私たち人間は「意味のある言語活動」をしているので、必要がない言語は自然と淘汰されていくため、使わない言語、自分の生活に必要ない言語は弱くなっていくものだということです。そのため私たち一人一人には言語を選択する能力が備わっていて「ここでは日本語」「ここでは英語」と分けて使用しているうちに使用頻度の少ない言語は発達が滞ったり、伸びていきません。また「どちらの言語も弱い」と見受けられる人がいた場合、往々にして、その人は一言語話者(モノリンガル)であっても言語運用能力そのものが弱いと考えられます。

一般的に母語であれば言語能力が低い子供は「口下手」とか「国語が苦手」と表現されるのですが、バイリンガルになると急に「ダブルリミテッド」のような恐ろしい用語が登場してしまいます。このことについては次回に書きます。

 

ところで余談ですが、カリフォルニア(特にロサンゼルスあたり)の人はPerfect(完璧)という言葉を乱用します。

ランチの待ち合わせを決めていて

 

OK. I will come at 12:00ish. (じゃ、12時ごろ行くわ。)

 

というと

 

Perfect! (完璧)

 

といった答えが返ってきます。

 

Perfect(完璧)の大安売りの環境にいると「完璧な〜」を使うようになっていくのでしょうか。

 

 

 

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