前回、学習する言語を使用する必要性がないなら、子供の頃からその言語を習わなくてもいい、という意見を書きましたが、私は日本の早期英語教育や、他国での早期外国語教育を否定しているわけではなく、どちらかというと、外国語(第二言語)教育を推進している立場です。
ただ「子供の頃から始めないと ネイティブスピーカーのようになれない」とか「何歳までに習わないと、もう無理」というようなことはないということを言いたかっただけです。
実際、私は日本語と英語のバイリンガルの人の(主に音声)データを取り続けていますが、臨界期と言われる12-14歳くらいを過ぎてから日本語を習ったアメリカ人や、日本にいて中学から英語を習い大人になってからアメリカに来た日本人で、どちらの言語も非常に高いレベルに達している人のデータをたくさん見て(聞いて)来ました。
言語が上達する=高いレベルに達するには、以下の三つの要因が関連していると考えられています。
- 言語学習能力(Language Aptitude) 一般的には「語学の才能」と言われています。
- 学習言語への態度・姿勢(Language Attitude) 一般的には「その言語に対して好意的な気持ちがあり、習いたいと思う気持ち」と解釈されています。
- 言語使用頻度・使用量 (Language Use)
言語を習う才能があるかどうかを測る試験は、あることはありますが、これは「新しい言語を習う場合にどれくらい上手になるかを推測する」テストで、その人のある時点での言語能力を測る(例えば英検とかTOEICのような試験)ではありません。
学習意欲や態度、姿勢について測るには、アンケートやインタビューなどが用いられます。
言語使用の頻度(例えば一日にどれくらい英語に触れているかなど)を測るには、「家では日本語で学校では英語なので、4時間は日本語、7時間は英語」のような、割と大雑把な自己申請による数値が使われたりします。
私は、これらを用いて、どういう要因を持っている人がバイリンガルになるかを10数年間、様々な年代や言語で比較研究しているチームに入っています。
前に何度か書いたように「日本語と英語」のバイリンガル研究や他の言語(「英語とフランス語」や「スペイン語とポルトガル語」など)の組み合わせに比べて、圧倒的に数が少ないので、研究としては発展途上です。
今の時点でわかっていることは...
日本人(日本語母語話者)は「英語の習得」に対して「好意的な態度を持っている人が多い」(Language attitude towrd Englishが高い)
日本人は(日本語母語話者)「英語と日本語のバイリンガルになること」に努力しようという態度を持っている人が多い。
日本人(日本語母語話者)は日本国内で英語を学習する場合、他国の同年代の学習者に比べ、英語の使用頻度(英語に触れている時間)が少ない
ということです。けれど、これも非常に少ないデータなので、「私の研究に参加してくれた日本人」に関してだということをお断りした上でのことです。
この結果から、私は「日本語母語話者が英語を習得する場合、上の3つの要因(Aptitude, Attitude, Use)のうちのAttitudeはクリアしているのだから、Aptitudeがある程度あれば、Use(使用頻度)を高めれば、うまくいく」と考えるようになりました。
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