私が日本で英語を教えていた時、よく生徒さんが

「もっと早いうちからやればよかった。」

と言っていました。

 

たしかに、大人になってから、新しい言語を習うというのは難しいと感じる人は多いと思います。

 

その理由としては、自分の母語(第一言語)がもう確立されていて、20000から30000の語彙を習得した後に、もう一つ別の言語(第二言語)を同じレベルまで到達させようとしても、いつまでたっても母語のレベルに追いつけないと感じるからです。

 

自分の言いたいことや考えていることを自由に表現したいのに、単語がわからない、文が作れない、というフラストレーションは、子供より大人の方が強いのは、大人の方が複雑なことを考え表現したいからです。

 

けれど、文字表記や単語や文例を覚えるという作業は、子供より大人の方がはるかに速く、記憶に定着させていくことができます。

 

例えば、ひらがなやカタカナを5−7歳の子供に教えるのと大学生に教えるのを比較すると、5-7歳の日本語が母語でない子供の場合には、平均して1年以上かかるのに対し、大学生では通常4週間から5週間しか、かかりません。

 

もちろん大人も学習能力のピークを過ぎると「若い頃に比べ、もの忘れが多くなった。新しいことを覚えられない」という現象が起こりますが、だいたい40代くらいまでは、学習能力は衰えていかないので、新しい言語を学ぶには、大人になってから学ぶ方が効率はいいと言えます。

 

では語学は子供の頃から習わなくてもいいのか?

その言語を使用する必要性がないのなら、習わなくてもいいと思います。

必要性が出た時、自分から、母語以外の言語を学びたい、と思った時に始めても「遅すぎる」ということはないでしょう。

 

ただ、前にも書いたように、子供の方が思考が単純で、母語の言語力も限られているため、第二言語・外国語が、「母語に近いレベル」に到達するのは早いので、母語とのギャップをあまり感じず、学んでいけるという利点があります。

 

それともう一つ、バイリンガル発達(2言語習得)の場合、2言語の距離(どれくらい2つの言語が近いか)によって、早い時期からの同時習得が認知能力(特に分析能力)を高めるという研究結果もあります。

日本語と英語のように2つの言語が非常に違う(=距離がある)場合、同時習得は難しい反面、両言語間を行き来する作業を日常的におこなうことにより、分析能力が高まるというのは、十分理解できるのですが、まだ一般化できるほどのデータがないというのが実状です。

 

なんだかまとまりのない文になってしまいましたが、要は「大人になってから、新しい言語を習い始めると母語のレベルに到達するのには、かなりの時間を要するが、子供の頃から第二言語を学んでも大人の母語レベル(2、3万の語彙数)に到達するには、大人になってから学ぶのと同じかそれ以上の時間を要する」ということです。

 

次は「言語習得」に影響をもたらす要因について、書こうと思います。

 

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