前回記事の続きです

 

 

KADOKAWA3賞受賞パーティーでのこと

私は、辻村深月先生と話すために

長い列に並んでいた

 

並んでいたのは

辻村先生のお知り合いの作家さんや

出版関係の皆様

 

緊張で喉が渇く

隣に一緒に編集者さんが立ってくれているのだけが

唯一の心の拠り所

 

医療の世界で長らく生きてきましたが

文芸界はまだまだ完全アウェーなのだと

本当に思い知る

 

世界はまだまだ広い

知らない業界が沢山あるのだ

 

などというどうでもいいことを考えていたら

あっという間に次の番が自分になる

バリエーション豊かな

名だたる名作

 

 

 

を生み出してきた

文学界の巨匠が目の前にいらっしゃる

(どれも面白いので、ぜひ読んで下さい)

 

写真でよく見る

そのままのビジュアルでした

 

目の前の二人がはけ

ついに私の番がやってきた

 

華やかなパーティーで

知り合いが誰一人おらず

煌びやかな雰囲気に圧倒されるばかりの中

なんとか掴んだ、文学界の大先輩と話を出来るチャンス

 

心臓はバクバクでした

 

会釈して、

編集者さんが軽く紹介してくれ

名刺を渡す

 

実物をお見せするのは流石に憚られますが

私の名刺は

表面が作家名義

裏面がクリニック院長名義になっています

 

小説家やイラストレーターの名刺は

結構凝っているものが多い

自分のイラストを印刷したり

出版した本の表紙を裏面にびっしりと並べたり

 

要は、

名刺を渡した瞬間に

相手に何かしら強い印象を与えなくてはならないのだ

 

相手の印象に残らねば

仕事も繋がらない

 

数多いる小説家の中で

私の強みはなんと言っても

医師作家

であること

 

さらにレア度の高い産婦人科医、

ついでに院長

そんな肩書きを持つ人間は極めて限られている

 

だから、

敢えて裏に実名も記名しているのです

 

結果、

辻村先生も

無事名刺に興味を示してくれた

(よかった)

 

しかし、

こちらがびっくりするほど緊張してしまい

会話をするにも汗ダラダラ

 

「お忙しい中で、

いつ執筆しているんですか?」

 

と訊かれたくせに

完全に混乱して

あれ?

自分はいつ小説を書いてるんだっけ?

と意味のわからぬ自問自答をして

 

出てきた答えが

 

「い、色々なときに」

 

アホか

そんな質問にもまともに答えられなかった自分を

ぶん殴りたい

 

そんな気まづい返しをしてしまい

会話が止まりそうな気配を察する

 

やばい

せっかく巨匠と話せる機会を得たのに

 

このままでは

何も収穫がない

 

そして私は、

必死に頭を巡らす

 

一つでも、今後の糧になるような質問を考える

 

途切れそうな会話の中

私は結局、こんな質問をしました

 

「先生は、一般大衆文芸からミステリ、子供から大人向けまで

どんな分野でもものすごく面白い作品を書かれるのが印象的ですが

その秘訣はなんでしょうか?」

 

おお、一端のインタビューアーみたいな質問

 

少し考えた先生は

こう答えて下さいました

 

「私は、その作品その作品で

担当する編集者さんに読んでもらいたいと思って

作品を作っています。

だから色々なバリエーションの物語が作れるのかもしれないです。

一作品作るたびに、どっと疲れますけど」

 

もう、

答えを聞いた瞬間

全身に雷が落ちたような衝撃だったのを覚えてる

 

この記事でも少し書いたけど

 

 

自分も同じような考え方で

創作に向き合っていたから

 

その編集さんと話して

面白そうな風呂敷を広げて

書いている最中は

その編集さんに面白いと言って貰いたいという思いで

執筆に臨んでいたのです

 

同じじゃん

 

作家としてのレベルは違えど

 

根っこは同じじゃん

 

この時の短いやりとりは

自分の小説家としての金言になっています

 

執筆で、

長くて

辛くて

幾度も迷いそうになるんだけど

 

この日に辻村先生から聞いた言葉が

暗闇の中に見える光の筋

に感じる

 

迷った時に

礎に帰る

って本当に大事で

 

多分私はこの先

何度もこの言葉を思い出すと思う

 

この日の感謝は

いい作品を一つでも多く

この世に出していくことで返したいです

 

やや真面目な話になりましたが

頑張ります!

 

応援よろしくお願いします!