トクリュウに自分の銀行口座を売ってしまう若者
時々、報道などで聴くトクリュウとは匿名・流動型犯罪グループの略称である。典型的には、SNSなどで闇バイトを募集し犯罪に関わらせるなどがある。
これら犯罪の例だが、特殊詐欺(還付金詐欺、オレオレ詐欺)、SNS投資詐欺、ロマンス詐欺、闇バイト強盗、違法薬物、犯罪インフラの提供などが挙げられる。
トクリュウは、お金の振込先を確保するために、銀行口座を買取るなどの募集もSNSで行う。これに応じる人は上記の犯罪インフラの提供などに入ると思われる。これらに安易に応じてしまう若者がいる。例えば大学生くらいの年代である。
自分の銀行口座をトクリュウなどの犯罪グループに売ってしまう行為は犯罪であり、それだけで処罰を受ける。
犯罪収益移転防止法違反(口座の譲渡・売却罪)
他人に譲渡する目的で通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングのログイン情報を譲り渡したり、提供したりする行為自体が禁じられている。罰則は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される。業として行った場合はさらに重くなる。
詐欺罪(刑法第246条)
最初から他人に売却・譲渡する意図を隠して銀行で新規口座を開設した場合、銀行から通帳などをだまし取ったとみなされる。罰則は10年以下の懲役(罰金刑はなく一発で懲役刑となる重罪)
組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿罪など)
自分の口座がトクリュウの資金洗浄(マネーロンダリング)や詐欺の振込先として使われることを知りながら提供した場合、犯罪の手助けをしたとして「幇助(ほうじょ)犯」や共同正犯に問われる可能性がある。
「お金に困っていた」「売るだけで自分は詐欺に加担していない」という言い訳は一切通用しない。トクリュウは言葉巧みに「名義変更するから大丈夫」「迷惑はかけない」と勧誘して来るが、一度渡してしまえば確実に犯罪の道具として使い捨てにされる。絶対に応じてはならない。
刑事罰を免れたり執行猶予になったりした場合でも、民事・社会的制裁を免れることは不可能である。
全口座の凍結・強制解約
悪用された口座だけでなく、他行で持っている自分名義の正常な口座もすべて凍結・強制解約される。銀行口座口座が持てなくなると、公共料金、家賃、スマホ代、クレジットカードの引き落としを始め、自らの給与振込先を失う。現代社会でのまともな生活が送れなくなる。
新規口座開設の拒否
警察の「不正利用口座名義人リスト」に登録されるため、今後すべての金融機関で生涯にわたり新規の口座開設が極めて困難になる。
巨額の損害賠償請求
売却した自分の銀行口座に振り込んでしまった詐欺被害者から、共同不法行為者として被害額全額の損害賠償を請求される判例が多数出ている。
先日、報道で知ったが、大学生数名が卒業旅行の費用を賄うために、自らの銀行口座をトクリュウに売ったという。あまりにも世間知らずで呆れてものが言えない。
今日の記事を挙げたもうひとつの理由は、最近、個人情報漏洩が相次ぎ、特に住所氏名、免許証あるいはパスポート画像セットで漏洩した事件があったことがある。
この事例では、漏洩した個人情報でトクリュウに銀行口座を作られて、犯罪に使われるリスクがあることが重大だと思う。
自分の過失がないのに、犯罪収益移転防止法違反(口座の譲渡・売却罪)や全口座の凍結・強制解約などの大きなペナルティを負うかも知れないからである。
そうではないことを証明する労力や精神的ストレスも大きな負担になると思う。タイミングが悪いと(例えば大学卒業年)、就職活動どころではなくなる。