統合失調症 | kyupinの日記 気が向けば更新

文書にまとめられた症例の診断不一致

 

 

上の記事は、文書にまとめられた症例を精神科医など専門家が診断しても55%しか一致しなかったというものである。この記事は2026年10月1日なので最近の情報である。

 

これは患者さんを診察して診断したものではないので、平凡に考えれば診断が一致しやすい。ちょうど医師国家試験の臨床問題のようなものだ。

 

もし文書による診断が55%しか一致しないのであれば、実際の患者さんを診察して診断したのなら、それ未満になりそうである。文書にまとめられたものは、主観的な感覚が入りにくくなるからである。例えば、あたかも試験のように正解に導くキーワードが入っていることを言っている。

 

特に興味深い点は、以下の部分。

 

同じ症例を提示された2人の医師間での診断一致率は約55%であった。あらかじめ設定された参照診断との一致率は全体で66%であり、特に一致率が低かったのは統合失調症(3例)と統合失調型障害(1例)であった。

 

統合失調症の方がむしろ一致率が低かったと言っているのである。このような驚くような結果になった理由として、

 

診断をめぐる混乱の一因が、同じ症状がさまざまな疾患で現れ得ることにある可能性を指摘している。例えば、強迫的な思考は、強迫症でも統合失調症でも生じ得ると同氏は説明している。

Nordgaard氏は、精神科医らの診断が一致しないことについて、「精神科医の仕事の質が低いのではない。むしろ、診断システムが存在していても、臨床医によって症状の解釈の仕方や、どの特徴を最も重要と考えるかが依然として異なっていることを反映している。

 

これは診断根拠となる臨床所見のウェートが精神科医により異なることを言っているのであろう。

 

そのような話を聴くと、診断する精神科医のこだわりのようなものもノイズになっているような気がする。それが文書になっても影響しているのがより興味深い。

 

昔、アナログの診断学の時代、統合失調症を全て躁うつ病と診断する医師がいたらしい。僕は目撃したことはないが、それなりに大学の専門の精神科医師である。

 

僕はこのような報告を見ると、統合失調症に限れば実際に患者さんを診察した方が、むしろ不一致率が低くなるのではないかと思う。しかし、上のように全て躁うつ病と診断するような精神科医がいる以上、せいぜい95%くらいだろう。

 

ちょっと気持ち的に暗くなる点は、これくらい不一致率が高いと、さまざまな論文の正しさに疑念が生じることだと思う。なぜなら、対象の診断の前提が怪しいのに。

 

一方、逆説的だが、このような文書での診断の不一致率が高かったとしても、例えば100人統合失調症の患者さんを意図を持って集めて来た時、統合失調症でない人が紛れ込むことはまずない。

 

と言うのは、やはりその人を実際に診ることが精神科では非常に大きいからである。診断的に微妙な人はその100人に入れることはないのでなおさらである。

 

この記事は一見驚くような内容だが、よく考えると、そう言うものかも?と思うようなものだった。

 

参考

以下は映画の中で出てくる精神科の診断について言及している。

 

これは2012年の記事だが、これも統合失調症の診断について触れている。