オリジナルの映画パピヨン
上の動画は、1973年のオリジナルの映画パピヨンの最後の場面。
映画パピヨンは、作家アンリ・シャリエール本人の壮絶な実体験を基にした終身刑囚、パピヨンの脱獄劇を映画化したものである。臨場感がある凄い映画。
主人公は、胸に蝶のタトゥーをしていることからパピヨンと呼ばれていた。パピヨンはスティーブ・マックイーンが演じている。彼は金庫破りで捕まったが殺人罪に問われ(冤罪)、フランスの刑務所から南米の仏領ギニアの監獄へ送られた。脱獄などほぼ不可能な環境である。
パピヨンはそこで債権偽造で捕らえられたルイ・ドガと出会う。ルイ・ドガはダスティン・ホフマンが演じている。ルイ・ドガはお金は持っているため、パピヨンは彼を守ってやる条件で、脱獄のための資金的な援助を得るようにしたのである。最初は打算的な関係だったが、この映画を通じて男同士の強い友情を描いている。その辺りがリメイク映画との相違点。
この映画は幾つか医学的な点で興味深い見どころがある。
パピヨンとルイ・ドガは、ジャングルの劣悪な環境の労務に従事するが、そこはマラリアに罹患しかねないのである。彼らはマラリアの特効薬、キニーネを手に入れ服薬する場面がある。
パピヨンは何度か脱走して捕えられるが、ある脱走の途上、ハンセン病で隔離された村にたどり着く。細かいところは忘れてしまったが、ハンセン病に罹患したその村の長が差し出す飲み物を飲んだのである。
ハンセン病は一般の人に誤解されているが、95%の人は生まれつきないし自然に免疫を持っているため感染しない。ある程度濃厚に接触したとしても、感染し発病する人は最初から決まっているような感染症である。
パピヨンはハンセン病の男から移らないのを知っていたのか?と言われる。(実はそんなはずはない。パピヨンは状況的に拒否できず飲まざるを得なかった)
パピヨンは脱走中に捕らえられ、真っ暗な独房に入れられる。その時、ルイ・ドガは彼が栄養失調で弱らないようにパパイヤのようなものを食事と一緒に出すように手配するが、バレてしまうのである。
パピヨンは、誰がパパイヤを入れたのか言うように詰問され暴行を受ける。ある時、あまりに苛烈だったため、一瞬話しそうになるが、認知症になったように振る舞い話すことはなかった。
パピヨンは決してルイ・ドガを売らなかったのである。
また真っ暗な独房にずっと入れられていたために、ビタミンDが不足し歯が抜けてしまう場面がある。長期間食事を減らされ、栄養補給のためにゴキブリ?のような虫を捕らえて食べることもしている。
最後、上の動画のように大量のココナッツの実を集め浮力のある筏を作り、島を脱出するのである。ルイ・ドガとの会話にあるように、ルイ・ドガはパピヨンが生きて逃れられるとは思っていない。
この後、パピヨンはベネズエラに渡り、当初は逮捕され監獄に収監されるが、最終的にベネズエラ市民権を得た。(映画は筏で海洋に出る場面で終わっている)
この映画は、皆、受刑者が薄汚れていて、時間が経つにつれて更に汚くなる。
またスティーブ・マックイーンはこの映画のために自分の歯を抜歯して撮影に臨んだらしい。なんと言うプロフェッショナルだろうか!と思う。
自分の体の一部を失う覚悟でこの映画の主人公を演じるスティーブ・マックイーン。
これと似たような事例として、1978年のモハメッド・アリvsレオン・スピンクス第1戦がある。この試合、テレビでハラハラしながらライブで観ていた記憶があり、自分はレオン・スピンクスがどう観ても勝ったと思った。しかし結果は2-1のスピンクスの際どい判定勝ちだった。どう判定すればSplit Decisionになるのだろうか?と思ったものだ。
この試合、レオン・スピンクスは自分の前歯を全て抜歯して試合に臨んでいる。試合を観ていれば、スピンクスの前歯が全てないのはすぐにわかる。スピンクスは、歯を抜歯することによりモハメッド・アリのパンチのダメージをかなり減弱させたのである。
余談だが、精神科医はスティーブ・マックイーンやレオン・スピンクスほどの覚悟で治療で患者さんに対峙しない。
なぜなら、そのレベルのエネルギーを注いでしまうと、患者さんにむしろマイナスになるからである。
精神科治療的には、おかしな距離感と言うことなんだろう。
参考
以下はパピヨンのリメイク映画 このリメイク映画は画面が明るすぎると思う。