トロペロン | kyupinの日記 気が向けば更新

トロペロンの販売中止について

 

2025年の4月、アルフレッサファーマ株式会社からトロペロンの錠剤、細粒、注射アンプルは在庫限りで販売中止とするとアナウンスされていた。2026年になり、在庫も僅かになりいよいよトロペロンは処方できなくなる。

 

トロペロンは代表的な定型抗精神病薬であるが、セレネース(ハロペリドール)の方が遥かに多く処方されていたため、トロペロンはニッチな抗精神病薬と言えた。

 

ところが、トロペロンの注射剤は統合失調症の重い病態でセレネースより効くということがあったし、なかったとしても大丈夫と言うほど不必要な抗精神病薬ではなかった。

 

近年、トロペロンは統合失調症の人で非定型精神病でうまくいかない人の一部でやっと行き着く薬なので、処方件数がかなり少なかったと予想される。

 

外来でそのような試行錯誤になりにくいため、処方される場面もほとんどが入院患者であろうし、読者の方でトロペロンを処方されている人はほとんどいないと思う。

 

アモキサンが異物混入を契機に販売されなくなったのと同様、トロペロンも販売中止になる運命だったと思う。

 

アルフレッサファーマ株式会社はトロペロン販売中止にあたり、ハロペリドールを代替薬として推奨している。トロペロンはジェネリックのチミペロンも販売中止になるからである。

 

 

ところが、セレネースとトロペロンでは薬の効き方が異なる。これはどのような背景があるのか不明であった。

 

細かいことだが、セレネースは基本、「うつ」にさせる作用がかなり大きい。これはセレネース液が躁状態の患者に奏功しやすいことでも理解できる。なぜか、躁状態の人にはセレネース液の方がセレネースの注射剤より効くことが多い。躁状態に人にセレネース液を服薬させると、翌日にはうつ状態(しかも希死念慮を伴う)に至っていることすらある。

 

一方、トロペロンはこの積極的にうつのフェーズに移行させる要素がほとんどないのである。したがって既にうつ状態の幻覚妄想に対し注射で対応するなら、セレネースよりトロペロンの方が優れている。

 

また、トロペロンの注射剤は、患者さんの気分をニュートラルからやや上のまま幻覚妄想を改善する際には適切な薬である。これはあたかも非定型精神病のような振舞いだが、なぜそうなのか今も理解できないでいる。人によれば、うつが改善した実感を持つ。これはセレネースの注射剤とは大差である。

 

しかし、うつ状態も伴うような重い幻覚妄想には、ジプレキサの内服やジプレキサ筋注で良い人が多い。トロペロンが選択されるパターンは、試行錯誤の末、その患者さんにはトロペロンがベストだと主治医が認識した時に限られる。これは確率的にかなり低い。

 

トロペロン内服をセレネースに変更した際、必ず悪化する人もいるので、トロペロン中止にあたり主治医には薬物治療の工夫が必要である。想像力も要求されると思う。