
医学部在学時代の多浪生のこと
X(旧twitter)お勧めに上のような記事が紹介されていた。この人は国立大学医学部に11浪して入学し、8回留年を重ねてようやく卒業したものの医師国家試験に合格できないまま49歳になったという。
一般に国立大学医学部に入学するより、医師国家試験に合格する方が易しいと言われている。だからこの人がずっと合格できないのは、試験対策が上手くないのでは?と思った。
この話を読んでいて昔のことを思い出した。この記事の中に、
入学後は夢のキャンパスライフと思いきや、「解剖実習の時に11歳下の女の子に話しかけても無視されたこともあった」周りは現役生ばかりで馴染めず、人間関係に悩み、留年や休学を繰り返し、卒業する時には43歳になっていた。
という文章がある。僕の感想は、「医学部の女子学生は記載されているように、多浪ないし、社会人を経て入学した学生に対し無視したり冷たくすることはないか、あっても極めて稀」と言ったところである。むしろ本人の自己評価が低いなどがあり、そういう感覚を持ったのでは?と思った。
ただし僕が在学した当時、学年で女子が占める割合は極めて低く毎年10%前後だった。今の医学部は女子学生がずっと多いので、中にはそのような態度をとる人もいるかも?と言ったところである。
上記の様々な理由の年配の学生は、むしろある種のリスペクトさえあった。実際、凄い経歴の人もしばしばだったからである。
医学部で留年を重ねると、友人のネットワークが新規にできて広がる人は稀で、むしろ孤立し、それが更に留年しやすいリスクとなった。ただしサッカー部、ラグビー部などの運動系クラブに在籍していると、上下に先輩、後輩がおり、リスクを緩和するところがあったと思う。その点だけでも運動系クラブに入る価値があった。
今は当時より随分と女子学生が増え、時に半数近くに達するという話である。こんな風だとラグビー部などは十分に部員が集まらず対外試合も出来ない事態になる。今は男子学生が昔より相対的に勉強ができない時代なんだろう。
当時うちの大学では、入学後4年以内に教養部の2年生をクリアしないと放校になる決まりだった。ただしここで放校になる学生は多浪生より、むしろ現役生が多かった(多くはない。1学年で1人か2人)
多浪生とか社会人経由の学生は、それなりに将来への危機感があり、むしろ放校になりにくかったと思う。
ここで言う真の多浪生と、医学部以外の大学卒業後ないし社会人経由の学生には大きな差がある。
前者は若い現役ないし一浪の学生の延長線上にあり、社会経験がない分、世間知らずである。考え方も甘い。しかし真の多浪生(10年浪人していたような人)は、実は滅多にいない。多分だが、そういう人は医学部に合格すら難しいのでは?と思っていた。
ここで言う多浪生と言う言葉だが、3浪とか4浪は多浪には入れていない。
3浪とか4浪くらいの人でさえ、辛く厳しい受験勉強を経て合格したわけで、それだけでもリスペクトされると言えた。
専門課程に入った当時、基礎医学の科目で再試になった際、口頭試問で上に挙げた多浪及び留年を重ねている学生と一緒になった。その多浪生は、ちょっと信じがたいことを言っていた。
ある学生は、「最近、思考力や集中力がガタ落ちになり勉強できない。覚えられない」と語った。彼はきちんと教授の質問を理解していたと思う。今から考えても、何か重い精神病を患っている感じではなかった。
また「最近、子供ができたので、夜泣きがひどくて勉強できない」と言う男子学生もいた。
それらはその教授には関係がないことではあるので、冷ややかでもなく、かと言ってかける言葉もないらしく、黙って聴いておられた。あの感じだと、試験が出来ない学生は再びあるいは三度落とされたような気がする。
口頭試問の現場にいた多浪生は、とにかくくたびれていて、ずっとおじさんだったのである。
最初に挙げた医師国家試験に合格出来ない学生だが、せめてインターネットの良い予備校に通う?べきだと思う。医師国家試験の問題には解くコツがあるからである。
この人と同じような境遇の人は、医師国家試験に合格したとしても研修医として受けてくれる病院が滅多にない。だから合格出来ても前途多難である。
しかし全くないわけではなく、とんでもない僻地とか、被災地など医師が来ないような地域では研修できる可能性がある。
結論だが、この人の年齢でも、合格できればなんとかなると言ったところだ思う。