昔、精神科病棟にいた歯が1本もない患者さん | kyupinの日記 気が向けば更新

昔、精神科病棟にいた歯が1本もない患者さん

昔の精神科病棟では、歯が1本もない患者さんが必ずいたものだ。前歯が1本だけある人もいた。病棟の師長と、

 

あの人たちは、どこに行ったのでしょう?

 

という話になった。今の精神科病棟の患者さんは、歯が1本もない患者さんはほぼいない。ない人もいるかもしれないが、入れ歯をしているので見かけ上は、そんな風には見えない。

 

当時、歯が1本もない患者さんたちが、なぜそうだったのかはいくつか理由がある。

 

1、当時の精神科の看護では、歯磨きなどの指導や援助は現在ほどしていなかった。その結果、歯を徐々に失い、歯が1本もない状態に至った。

 

2、タバコの吸い過ぎにより歯を失った。現在、精神科でも院内禁煙の病院が多い。喫煙場所を決めている分煙の病院でもタバコの本数はかなり制限している。タバコは口腔内の血流を悪くするため、虫歯や歯槽膿漏など、歯を失うリスク要因である。

 

3、向精神薬による口内の唾液の減少に伴う虫歯、歯槽膿漏、および歯の喪失。

 

4、現在は訪問治療で歯科治療が受けられるので、虫歯を長期に放置するケースが減少している。また、歯を失っても入れ歯などの治療が昔よりできるようになった。

 

くらいだと思われる。

 

上記の3だが、現在の非定型抗精神病薬やSSRI、SNRI、トリンテリックスなどはかつての定型抗精神病薬や3環系抗うつ剤より口渇、つまり唾液減少を来たしにくくなったことも大きいと思う。また定型抗精神病薬服用の際に、アキネトンなどの抗コリン薬が多く併用処方されていたことも関係している。

 

タバコについての余談だが、病棟内禁煙が実現すると、悪性症候群になる確率がかなり下がる印象である。その理由は、タバコは抗精神病薬の効果を減弱し、その結果、高用量や多剤併用が必要となりやすいことが大きな要因だと思う。

 

タバコそのものは悪性症候群を促進するかどうかは微妙である。(よくわからない)。