遂にテトラミドが枯渇し処方できなくなったこと | kyupinの日記 気が向けば更新

遂にテトラミドが枯渇し処方できなくなったこと

 

旧来の抗うつ剤、テトラミドは数ヶ月間前から購入が容易ではなくなっていた。当院の院外薬局では遂にテトラミドが枯渇し処方できなくなった。テトラミドは少数の患者さんにしか処方されていないが、全く処方できないとなると困る人が出てくる。

 

テトラミドは四環系抗うつ薬で、ルジオミールやリフレックスと同じカテゴリーに入る。これらの共通点は鎮静的抗うつ剤で、言い換えると眠さが出現しやすい抗うつ剤である。したがって、今日ではテトラミドは催眠作用を期待し、就寝前に眠剤に加えて処方されることが多くなっていた。抗うつ作用が多少あれば良いというバランスである。従って大量は処方しない。

 

テトラミドは感覚的にはルジオミールの抗うつ作用ほど強力ではないこともあり、統合失調症のうつ状態にも比較的処方されやすい薬だった。この「さほど強力ではない」という特性は、統合失調症に処方しやすいポイントだと思う。抗うつ剤は強力であるほど、統合失調症の精神症状に影響しやすい傾向がある(精神症状を悪化させる確率が高まる)。

 

 

上はテトラミドの添付文書である。これを見ると、最高量は60㎎で適宜増減できると記載されている。このような記載では、倍量の120㎎までは査定されない。僕は全国的にそうだと思っていたが、実はローカルなもので、地域差があることを最近知った。

 

したがって、SSRIやSNRIが発売されていない時代、テトラミドの90㎎とか120㎎の処方を見たことがあった。見たことがあったと言う話だが、関連病院に勤めていた当時、先輩医師から、「テトラミドはあまり効かない薬なので、90㎎とか120㎎とか処方しないと全然効かない」と聴かされており、そういう処方を目撃したという意味である。

 

僕は抗うつ作用に関してテトラミドにはあまり期待しておらず、もっぱらルジオミールとアモキサンないしアンプリットで治療していた。それ以外では旧来のトリプタノール、トフラニール、アナフラニール、ノリトレンなどである。

 

テトラミドを全く使わなかったといえば、当時から眠剤補助として時々処方していたため、今治療中の患者さんの中にもテトラミドを処方している人が数人いるのである。たぶん10人もいないと思うが。

 

それでもテトラミドがないとなると、意外に困ると思った。代替にふさわしい薬があまりないからである。リフレックス(ミルタザピン)で良い人であれば、最初からテトラミドなど選択しない。

 

最初に挙げたリンクにあるが、現在、テトラミドはオルガノン株式会社が販売しているが、オルガノン株式会社はアメリカ、ニュージャージー州の会社の日本法人である。このような事態になると、先入観かもしれないが、外資系の会社というのが今後に影響するような気がする。

 

アモキサンの時も思ったが、既に売り上げがあまりないような薬がこのような理由で販売休止されると、休止の間にテトラミドを処方されていた患者さんは仕方なく他の抗うつ剤に代替され、いざ再発売したとしても、以前ほど売り上げられるのか怪しくなる。

 

つまり、再発売するインセティブが、時間とともにほとんどなくなっていくのである。

 

テトラミドやアモキサンに限らず、アンプリット、ノリトレンなどの旧来の抗うつ剤は、やがてなくなってしまう運命なんだと思う。