なんだかんだ精神科医の仕事って面白くはあるよな | kyupinの日記 気が向けば更新

なんだかんだ精神科医の仕事って面白くはあるよな

精神科医の仕事が面白いとかいうと、不謹慎と思う人もいるかもしれない。ここで言う「面白い」とは極めて興味深いという意味合いと思ってほしい。

 

現在、うちの病院では新規の患者さんの初診相談が来ると、まず精神保健福祉士が院長である僕にサマリーを持ってきて、受けるかどうかを僕が判断する。

 

平成の終わり頃は、ほぼオールカマーで相談があると須らくその日に初診を受けていた。このような病院は稀なので、市内の病院でもその情報が共有され、その日に強い初診希望がある人が精神科病院に電話すると、うちの病院をいつも勧められるようになった。

 

これは逆に困ることで、時に1日に初診が8人来るという事態になった。オールカマーにすると市外からも初診する。それくらい精神科受診は、希望した当日は難しいことを示している。

 

このような経緯で、初診を受けるかどうかも含め、初診日をどのようにスケジュールするかを僕が決めることになったのである。

 

うちの病院は運が良いと希望当日に初診できるが、僕は仕事が早いというか、言い方によれば雑なので、確率的に当日初診が最も可能な医師となっている。他の医師はその日には受けない。

 

初診希望者のサマリーの内容は非常に重要で、基本、僕は紹介状がなくても気にしないタイプなので、たとえどこかほかの病院に受診中で、紹介状がないとしても受ける方である。しかし、真の精神科初診の人に比べ、既に他院にかかっている人は転院するのはそれなりに理由があるはずである。

 

どう見ても初診以後、うちの病院で問題を起こしそうな人は、まず紹介状をもらってくるように言うため、その日には初診できない。たまに紹介状など書けないレベルの人もいて、その場合は真に初診できない。

 

結局、オールカマーにしなくなったのは、このような事例が時々あったことが大きい。問題のある患者さんのかかりつけ病院になるのは、主治医の自分というより職員が苦労する。また、このような理由で職員の退職が続出すると、それこそ大変な事態になる。今は人手不足で看護師のみならず看護補助者さんも募集が難しいからである。

 

また高齢者でADLが低い人は入院になった時、必然のように車椅子になるので、自然と初診できないケースが増える。特に施設入所者にそういう例が多い。精神科の診療報酬は、マンパワーが必要な患者さんばかりを看るようには設定されていない。逆に85歳でもADLがしっかりしており、妄想などが主訴の人は初診しやすいし同日入院も可能である。

 

真の初診で、すぐに初診しないと本人がきつそうなケースは、僕が外来担当であれば、その日に診ることが多い。つまり電話したその日に初診できる。

 

何割か調べたことがないが、この人は治療すればどうみてもすぐに良くなると思えるケースがある。精神保健福祉士のサマリーを見た時点で、処方薬まで決まるような人。このような人は、実際に初診後、速やかに良くなることが多い。既に他の心療内科や精神科病院にかかっていても直感的にそう思えるのである。これはリエゾンでも同じ感覚がある。

 

計算したことはないが、良くなる確率はかなり高い。100%ではないが、ほぼ90%は良くなっていると思う。あらかじめどのような薬が良いか予測した薬もそのまま正解のケースが多い。多分90%くらい。なぜそうなるかは謎である。

 

そのような患者さんを受けた時、更に同日、他の患者さんが初診希望することがある。僕にとって、最初の患者さんは既に処方まで決まっているようなものなので、初診のような面倒さはないこともあってゼロのようなものであり、うっかり2人目も受けてしまうのであった。

 

このような時、タイトルにあるように、

 

なんだかんだ精神科医の仕事って面白くはあるよな。

 

という気持ちになるのは確かである。精神科の初診患者を診ることは極めて面白い体験で、新患2名でも苦にならない。年齢的に疲れが出るのはその後だが、アドレナリンが出るためか、面白ければ面白いほど疲れが少ない。

 

ある時、嫁さんの実家の近くの温泉地に高速道路で行くことになった。その日、ある患者さんの住む市のインターチェンジを通過する時、「あの人はこんなに遠くから通院されているのか!」とある種の驚きがあった。彼は高速道路で来ていると言っていたので間違いない。それくらい遠方だったのである。

 

先日、昔、神田橋先生に治療を受けていた患者さんに、「鹿児島にいた当時と比べてどうですか?」と聴いてみた。その答えだが、彼は首を振り、「全然、比べ物にならないですよ」と答えたのである。

 

当時、働くことさえままならなかったが、今は大きな病院の事務長としてバリバリ働いている。

 

参考