
精神科病院長期入院患者とマイナンバーカード
2024年12月2日をもって新規に健康保険証の発行はされなくなり、マイナンバーカードに代替される。しかし、従来の健康保険証が使えなくなるわけではなく、1年間は使用できるようである。国はおそらく移行期間を設けたのだろう。
数か月前、当院のデイケアメンバーさんのマインバーカード取得のため、わざわざ役場から職員がやってきて、写真撮影したりマイナンバーカード取得の援助をしていた。つまりそれくらい頑張らないと国民全体の普及が難しいのである。総務省が2024年7月9日に発表した普及率はなんと79.8%しかなかった。
マイナンバーカードの普及のために、国が既に引っ込みがつかないレベルの膨大な費用をかけているのは間違いない。
先月か先々月だったか忘れたが、「資格情報のお知らせ」なる書類が自宅に届いた。夫婦、2人分である。これは白の厚めの紙でマイナンバーカードに類似する情報が記載されているようだが、ICチップや写真がないのであくまで補助的なものである。
このような資格情報を国民に送らないといけなくなったのは、マイナ保険証の情報に誤りがあったり、ICチップの故障、システム障害、大地震などでの停電になった時に、マイナンバーカード情報が呼び出せない事態を想定している。これも膨大な費用がかかっていると思われる。
既にマイナンバーカードを持っていて、どこかの病院で初診しようとしたとき、この「資格情報のお知らせ」を一緒に持って行けば、不測の事態もなんとかクリアできる。
経済評論家、ジャーナリストの萩原博子さんは、マイナンバーカードそのものに反対しており、書籍も上梓されている。
元々、マイナンバーカードは国民のあらゆる情報、個人情報、健康保険証、運転免許証、銀行口座に至るまで把握一本化し、とりわけ税金を取り損なわないようにしたカードだと思う。僕は確定申告の際には必ず家族全員のマイナンバーカード番号の記載が必要である。
しかし日本人はITに疎いのか、大企業でさえ、しばしばハッキング事件が起こり、個人情報が洩れる事態になっている。毎年のように、大企業のトップが国民に謝罪している。
しかし、1つの企業がハッキングされて個人情報が洩れてしまうのと、マイナンバーカード情報がハッキングされるのは全然、意味が違う。規模が違うと言うべきか。
マイナンバーカードは多くの情報を詰め込み過ぎていて、リスクの分散になっていないのである。このタイプの個人情報カードは、逆に、情報を分散化させることにより、ハッキングリスクを軽減する方針の国もあるようである。
個人情報(特に名前、生年月日、住所、電話番号)と銀行口座がセットになっていれば、ハッキング情報は新たなトクリュウ型犯罪の原因になると思われる。逆に、トクリュウ犯罪のトップにとっては、マイナンバーカードのハッキング情報はぜひ欲しいところだろう。
そのようなことから、マイナンバーカードは治安という視点でもリスクを孕んだ制度だと思われる。
タイトルに挙げた精神科病院長期入院患者さんとマイナンバーカードであるが、高齢の長期入院患者さんは親戚が全然いないなどもあり、住所が精神病院と同じになっている人もいる。
従来、そのような人は健康保険証を病院に預けており、他科受診の際には病院にある健康保険証を持参すれば問題がなかった。また家族がいたとしても他科受診が多い人は、本人の健康保険証は病院内にあった方が便利である。
特に高齢者だと、救急車で搬送されることも時々あるので、病院内に健康保険証を預けておくのは極めて合理的だと思う。
しかし、やがてマイナンバーカードに移行したら、果たして病院で預かれるのか?と言う大きな問題がある。マイナンバーカードは一介の民間精神科病院が預かるには、重すぎるのである。
今は健康保険証は12月から1年の猶予期間があるから良いが、来年以降、精神科病院はどのように対応すれば良いのか難しい状況にある。
以下は2022年12月の朝日新聞系の記事である。この記事では今から2年前までに既に2兆円使っていると記載されている。つまり、既に大変な金額がマイナンバーカード普及に費やされていて、なお普及率が80%くらいなのである。
この体たらくは、誰か責任を取らなければならない事例だと思う。なぜなら、マイナンバーカードはおそらく日本という国にとって、必須とまではないからである。
参考

