
新型コロナと6回目ワクチンの話
今日は上に挙げた記事の続きのような内容である。うちの病院は昨年の12月から今年の1月にかけて新型コロナが閉鎖病棟で大流行し、患者さん、職員の80%を超える感染者が出た。しかし、短い期間に罹患したために収束も早かった。今回は感染者のその後の話である。
うちの病院では5回目ワクチン接種後2か月目くらいに爆発的に感染者が出た。
ワクチン接種後、しばらくは免疫が下がると言う意見があるが、職員、患者さんともワクチン接種者では極端に重い症状の人はおらず、治療のために新型コロナ専門の病院に搬送した人はいなかった。
しかし1名だけワクチンを全くしていない高齢者がおり、院内で亡くなっている。ちょうどその時期、感染者数が多すぎて受け入れ病院がなかったこともあった。この亡くなった患者さんの部屋に入った人はほぼ100%に近い確率で感染したので、スーパースプレッダーだったのかもしれない。医師も1名を除き全員感染したが、感染しなかった1名はその部屋に入ったことがない医師であった。
ワクチンの副反応が酷く1回ないし2回しかワクチン接種していない看護者がいたが、全員罹患している。しかも他の感染者に比べかなり重い症状が診られた。例えば、熱が40度まで上がったとか、発熱した期間が他の人より長いとか、治癒後も後遺症で臭い、味がわからないなどである。それほど重かった人も入院ないしホテル療養まではしていない。
僕は参考のために、重かった職員に話を聴いている。質問内容は、「やはりワクチンをしておけば良かったと思いましたか?」である。その答えは、「ワクチンをしておけば良かったとは思わない」であった。職員でワクチンを全くしていない人は皆無で、1回目~3回目に重い副反応が出ていた人たちである。
これは、しないならしなくても良いワクチンで重い副反応が出るのは耐えられないが、ワクチンをしなかったために、症状が重いのはやむを得ないと言う感覚だと思う。
これは医療界では、癌で死ぬのはやむを得ないが、検査の造影剤で死ぬのは耐えられないと言う感覚に似ている。かつて、それくらい造影剤のリスクが高い時期があった。MRさんから造影剤の事故件数を聴き脳神経外科医の友人が怒り出すほど。
ワクチンとの相違は、造影剤の話は個人に限られるが、ワクチンの場合、集団免疫を得るという個人に限定されないメリットがあることだと思う。
新型コロナの治癒後、もう半年以上経つのに、未だに臭いの感覚が十分に回復していない人がいる。その人が言うには、食品で腐っているか、あるいは、腐りかけているのがすぐにわからないのが困るという話である。治癒直後から比べるとやや改善しているが、半年以上経ってもそんな風なので、今後改善するのかあやしいと思っていると言う。
年初の新型コロナクラスターでは、ワクチン回数の少ない特別な人を除き、圧倒的に症状が軽かったのもあるのか、その病棟職員の6回目ワクチンの接種希望者が激減した。ワクチン接種のモチベーションが著しく下がったのである。
一度、感染してみると、ワクチンをしていると新型コロナもこんなものか、などの実体験から、6回目ワクチンをしない決断をしたと思われる。おそらく罹患した病棟職員は6回目ワクチンは15%くらいしかしていない。これは多分、既に5回目まで済ませているのも関係している。
一方、クラスターがなかった病棟では職員の80%くらいが接種しており、一度、罹患するかどうかは接種率に大きく影響することがわかる。
新型コロナ感染症は、ワクチンなしで罹患した場合、ワクチン接種しまだ罹患していない人ほどは免疫が得られないと言われている。最強なのは、ワクチンをしつつ感染もした人たちである。彼らはハイブリッドなどと言われている。感染した職員は接種ゼロの人はいなかったので、全員が晴れてハイブリッドになった。
この免疫が結構大きいようで、1月に感染した職員、患者さんのいずれも1名も2回目の感染がない。現在、かなり新型コロナは流行しており、職員の家族にも感染者が出ている。新型コロナ感染後、2~3か月経つと再感染がある人もいるらしいが、かなり珍しいように見える。
そう思う理由は、家族が罹患してもその職員は感染しないからである。現在クラスターから約7か月であるが、まだまだ感染しにくいハイブリッド状態は残っているように思われるのである。
新型コロナウィルスは、濃厚接触でもない状況でも感染することがある。そう思う理由は、精神科の閉鎖病棟で全く外出もせず、あたかもカプセルに入っている環境でも感染がありうるからである。
ニュージーランドは新型コロナ感染症が出た頃、女性首相のもと、厳しい鎖国のような環境で流行を抑えようとしたが困難だった。当時、どこから入ってきたのかわからず、もしかしたら輸入品などにウィルスが残っていて感染したのでは?などと言われていたが、真相は不明である。これらの感染は濃厚接触どころではない。
また、精神科病院は非常に隔絶した環境なこともあり、不思議な感染が時々起こる。例えば、感染が起こっている病棟に薬を届けた職員が感染したなどである。ドアを開けたのは数秒である。もちろんマスクなどもしていて感染している。(それも複数)。
海外では、全く外に出ず引きこもり状態だったのに宅配を玄関で受け取っただけで感染した人もいたらしい。
今回、6回目接種以降に、再び他の病棟でクラスターが起こったが、今年1月の状況と少し異なっているように見える。ちょうど6回目接種の1ヵ月後であった。
前回とは異なり、感染の広がり方が緩やかなのである。また圧倒的に症状が軽い。酸素が必要など少し症状がある人は、90歳くらいの高齢者に限られている。1月の時は、感染率が職員も患者さんも大差がなかった(80%超)が、今回は職員はほとんど感染しないのである。
これはもしかしたら6回目ワクチンは患者さんは全員、職員も80%ほど接種しているので、今回のワクチンはウィルスによりフィットしているなどバージョンアップしているのかも?と思うほどである。あるいは、スーパースプレッダーのような人がいなかったのもあるのかもと思う。
SNSなどで、ワクチン未接種の人が非常に重い感染後経過を逐次ツィートしているのを見たことがあるが、あれほど重くなるのなら、ワクチンをしておく価値があると思う。
外来患者さんでは、たまにワクチン未接種で新型コロナに感染したと言う話を聴く。彼らは、少なくとも5回ないし6回接種の人よりは重い経過だったように見えるが、たまに比較的軽かったという話も聴いた。
高齢者の患者さんでは、新型コロナ感染後、コロナにより「くたびれた」と言う経過になりやすい。体調が悪化し食思も下がり亡くなる経過もあるが、これらは新型コロナ関連死と言った感じだと思う。
一方、かなり強いというか、たくましい人もいる。精神科患者では、COPDで、なおかつすべき酸素吸入をしない人もいる。そのような人は新型コロナ感染症に感染すれば相当リスクが高いと思われるが、感染し軽快後2~3週間くらい酸素が必要だったが、しばらくして本人が嫌がり、今は酸素なしでピンピンしている。彼は昔はタバコを1日60本吸っていたらしい。
精神科患者さんには喫煙者が多く、時に1日、80本吸う人がいるので驚く。80本吸う人は、つまり1日4箱吸うわけで、1箱600円とすると、1日2400円、1ヵ月7万円以上タバコ代に消える。給付された障害年金をタバコとその税金で全て返してしまう感じなのである。
タバコへの高い税金は、ガソリンへの高い税金に似ていると思う。決してその人の所得に比例して徴収していないからである。ガソリンは都市部より、地方で車がないと生活が成り立たない人たちから多く税金を徴収している。平均年収は都市部よりずっと低い水準なのにである。
精神科病院での新型コロナ感染症は、ある種の社会実験のようになっている。通常では設定にくい特殊環境で、驚くようなことが起こることを目撃できるからである。
実際、今回の新型コロナパンデミックで、風邪が如何なるように人から人へ感染していくのか理解が進んだ。それは数十年に相当すると言えるかもしれない。確かに戦争や災害は科学を進歩させる面がある。将来、完全に風邪という感染症を封じ込める糸口に近づいたとも言える。
遠い将来、人類は精神疾患を含め、ほとんど全ての疾患を完治できるようになると思う。疾患を完治するというより、疾患が最初から存在しないという感じかもしれない。
旧ソ連の天文学者、ニコライ・カルダシェフは、宇宙文明の発展度を示すスケールを考案している。このクラス分けはカルダシェフ・スケールと言われている。もともとカルダシェフはタイプⅠ文明からタイプⅢ文明までしか定義しなかったが、その後、他の研究者によりレベルⅦまで拡張されている。
彼の宇宙文明のレベル分けの根幹は文明が得ることができるエネルギーの規模のようである。以下は参考になるYouTube動画である。興味がある人は見てほしい。
上に挙げた動画では、タイプⅠ文明レベルに到達すれば、ほとんどの感染症や難病が克服できると紹介されている。(4分24秒)
遠い将来、重い精神病の克服のありようは、現在のようにアナログに治療薬を飲むとか、そのような治療法ではないような気がしている。
少なくとも現況の新型コロナウィルスは、今後なくなりそうにないので、現在より副反応が少なく、国民が接種しやすいワクチンになってほしいものである。