
自律神経と顆粒球およびリンパ球の話
今日の記事は精神科と直接には関係がないが、メンタルへルスを含め健康状態について参考になると思う。
ヒトは交感神経と副交感神経のバランスの上で体調を維持している。一般にストレスがかかると交感神経の過緊張になり、血圧上昇や頻脈を来す。この際に顆粒球は増加するが、これは顆粒球にはアドレナリン受容体があることと関係している。
ここで言うストレスとは、仕事上のストレス(多忙など)、怪我をすること、精神疾患も含まれる。統合失調症の幻覚妄想状態(幻聴が活発など)やうつ病ももちろん交感神経過緊張状態である。これらの身体環境では顆粒球優位な状態にあり、顆粒球の増加により組織障害を生じうる。組織障害とは、例えば胃潰瘍などである。
副交感神経優位な状態は、例えば風呂上がりのゆったりとした身体状況にある時にみられるが、この状況ではリンパ球優位となっている。リンパ球はアセチルコリン受容体がみられる。
ヒトは生涯にわたり顆粒球とリンパ球のバランスの変化が診られる。ヒトの出生直後は著しい交感神経緊張状態で顆粒球も極めて多い状況にある。イメージ的には真っ赤な顔で赤ちゃんが泣く状態である。
この出生直後の一時的顆粒球増加状態を過ぎると、20歳頃までリンパ球優位の状態がみられる。20歳頃に逆転し顆粒球が優位となり相対的にリンパ球が減り続ける。そして、老衰で死亡する時期には顆粒球ばかりになる。癌や肺炎などで亡くなったときに顔がどす黒く見えるのは、顆粒球の活性酸素による組織の酸化反応が関係している。
これらの顆粒球・リンパ球のバランスから、子供の頃は副交感神経優位な状態なのである。子供の頃に小児喘息が生じることがあるが、年齢が上がるにつれて次第に改善する理由は顆粒球・リンパ球のバランスの推移と関係している。
子供の頃は元々副交感神経優位な時期なので、ストレスにより副交感神経がより過緊張になり免疫系疾患を発症しやすくなるといったところであろう。
子供の頃、タクシーの排気ガスの匂いが好きな女の子の友人がいた。彼女はタクシーが家の近くに来ると、しばしば追いかけて後について行った。これは今から考えると、排気ガスの匂いが彼女を気持ちよくさせていたからだと思われる。
排気ガスのような有毒ガスは窒素酸化物である。これらが体内に入ると、組織から酸素を奪うため還元反応が生じる。これらは交感神経優位から副交感神経優位にするため、リラックスした気持ちになるのである。頭がぼんやりして体がゆったりする状態になると言ったところであろう。
実は、狭心症の薬、ニトログリセリンは窒素化合物で、同じように副交感神経を刺激して血管を拡張するメカニズムを持つ。
逆に過呼吸発作では、より生体内の酸化反応を亢進させるため、一層、交感神経優位になる。そもそも過呼吸発作はメンタルヘルス的にストレスがかかった交感神経緊張状態で起こっている。
これらのことを考えていくと、現代の免疫疾患(鼻アレルギーなど)の増加は排気ガスなどの環境汚染が少なからず関係していることがわかるであろう。
このように書きながら今気づいたのだが、僕の子供の頃は今よりずっと食品添加物や農薬の規制が緩かった。高度経済成長の中でこれらの健康への影響が問題視され次第に規制されていった歴史がある。実際、排気ガスの排出量も昔より改善している。
個人的には、今の親の世代の公害野放しの環境汚染の負の遺産が、現在の30歳前後以下の人たちのアレルギー疾患やメンタルヘルスに少なからず影響していると思う。
参考