
2020年10月以降のコンサータ及びビバンセの患者登録の話
今日の記事はコンサータまたはビバンセを処方されていない人には関係がない。しかし、これから処方されそうな人は読んでおいてほしい。コンサータは不適切な処方(不祥事)があり、処方医師及び処方を受ける患者さんは全て登録制となった。
この話は昨年くらいに突然出てきて、当初、処方できる医師がどのような資格や条件が必要なのか詳細がわかっていなかった。最初に出されたスケジュールは2020年6月末日までコンサータないしビバンセを処方する医師は登録を終えるようにアナウンスされていた。
そのようなこともあり登録を終えるまでコンサータの新規投薬ができなかったのである。既に処方継続していた患者さんは移行期間の特例でそのまま処方できたので診療上は問題がなかった。ただし、新規処方ができなかったため多少は影響があったと言える。
このタイミングでコロナウィルス流行である。2020年は100年に1度クラスの特別な年で、例えば今年は精神保健指定医の講習会が開催されていない。ところが、コンサータ、ビバンセの医師登録の6月期限が順延されるのかどうかが、なかなかアナウンスされなかった。
結局、ギリギリになり2020年9月末までに順延になり、個人的に心の準備をしていたのが一気に緩んだ。7月上旬に概ね準備を終え、安心してそのまま放っておいた。その理由は、新規にぜひコンサータを処方したい人がいなかったのもある。コンサータを使うと良いかも?と思う子供が1名いたくらいである。
なお、登録はウエブ上のサイトで行い必要な書類もアップロードで完了する仕様である。ここには医師は個人のIDとパスワードでログインでき他人はログインできない。なお、自分の患者さんでコンサータを処方している人は14名ほどだった。これが多いか少ないかは良くわからない。
2020年10月1日以降、患者登録と処方登録を始め、上記14名のうち12人は既に登録を終えている。今回の記事では患者さんが、どのような承諾書を記載し、どのような指導をされるか、あるいはどのような個人情報が登録されるのか概略を紹介したい。
患者さんは、登録に際し3点セットを受け取る。その1つが上のわりあい小さいパンフレットである。説明しにくいが1枚紙で片面3ページほどである。
3ページを一度にスキャンできなかったので、そのうちの2ページ。右のページには、どのような流れで登録され、患者カードを交付され、処方を受けるか書かれている。重要な点は、最終的に患者カード(診察券くらいの小さなカード)を受け取り、それがないとコンサータなどの処方を受けられないこと。この患者カードだが、自分の名前、イニシャル、生年月日、性別、電話番号など全てなく、唯一、ID番号だけが記載されている。カードの下半分に病院名とあるが、これは任意である。
患者カードについてのQ&Aである。ここまでの3つの画像は最初の1枚の中に記載されている。
上記2枚の写真の上は、コンサータ、ビバンセを処方するにあたり、患者さんが記載する同意書。真ん中の辺りの説明をよく読み、一番上に同意のチェックしたのち署名する。注意したいのは、ここでは実名を書くが、ウエブ上に記載される個人情報は、名前のイニシャル、生年月日、性別のみであること。これでもかなり特異性が高く、この3つが全く同じ人がいることはほぼないと思われる。特にコンサータ、ビバンセを処方されている人以外は登録されないからである。(N数が少ないため)。なお、同じADHD治療薬でもストラテラなどは登録しなくて良い。下のパンフレットはADHDという疾患の解説である。
ウェブ上で患者さんを登録する欄に第三者からの症状確認について記載する欄がある。例えば、通知表、連絡帳、母子健康手帳などである。これは成人の患者さんでは現実的ではないケースもある。例えば40歳以上の人など。その場合、僕は父親とか、夫とか親近者から生活歴を聴取していると記載している。これでも良いのだそうだ。子供だと僕は母子健康手帳などを挙げている。
承諾書を記載してもらい、ウエブ上に登録を終えると、約2週間で患者カードが送られてくる。患者さんの実名や住所は登録されないので、送られてくる場所は病院である。次回受診時にその患者カードを本人に渡し、受領サインを貰う。子供の場合は保護者(たいてい父親か母親)がサインする。
10月1日以降に初めてコンサータを処方される新規患者さんは、特例で1回だけ患者カードなしで処方できる。これは初回処方時限定のID番号記載用紙が患者登録の際にダウンロードでき、患者カードの代替になる。
実務上思ったことだが、初回に2週間処方した場合、ちょうど2週間後に再診した際に、患者カードが届いていないことがあり、2回目の処方ができないことがありうること。実際にそのようなことがあったが、新規患者ではなかったため問題がなかった。
既にコンサータなどを処方されている人は、2020年12月末までは移行期間であり、患者カードなしで処方を受けられる。登録が済めば、新規患者さんと同様、患者カードが必要になる。
ということは、12月末までにきちんと主治医に受診し患者登録を済ませる方が良い。僕の患者さんでは外来担当日以外に受診した人だけ登録が終わっていない。もう10月28日なのである。ウェブサイトは医師ごとにID、パスワードが決まっており、同じ病院内の他の医師が代わりに登録することなどできないからである。
自分のIDのウェブサイトの患者登録一覧では、苗字、名前の2つのアルファベットのイニシャル、生年月日、性別しかわからない。あと無機質なID番号である。したがって、誰が誰だったか混乱しやすい。何度、間違おうとしたことか。僕の患者さんは同じ苗字のアルファベットがなぜか多いのである。生年月日は西暦で登録されるので意外にピンと来ない。ID番号も同様である。
登録を始めて2週間くらい過ぎた時、なぜか登録済みの患者さんの数以上の人たちが登録されていることに気付いた。最初、もしかしたら他の病院の患者さんの情報が混じり合っているのかもしれないと思った。生年月日をレセコンで調べると、そのアルファベット2文字の人は、うちの病院の外来患者さんの中に実在していたのである。
自分しか入れないサイトだが、同じ病院内のコンサータなどの処方患者さんたちは全て表示されるようなのである。(つまり他の医師の患者さんも自分のサイトに表示される)
いったん登録が終わると、あまり仕事がないように見えるかもしれないが、そうでもない。彼らが受診する度に処方登録をしなくてはならないのである。例えば14日ごとに受診する人(コンサータ36㎎)がいたしよう。その人にコンサータを受診する度に、36㎎(18㎎x2)14日分と記載する。なお、コンサータ以外の薬は記載する必要がない。ひとめ、いかなる剤型を何錠、何日分処方したかわかり、今後、その記載がエクセル的に下に伸びていく仕様である。
従って、トータルでおかしな処方をしているとすぐに明確になる。例えば毎回28日分処方しているのに、毎回、21日とか短い期間で再受診していると、年間で365日を大幅に超えて処方されているなどである。
仕事の都合などで少々の受診日のズレは容認されるが、トータルで大きく処方日数が多いなどは良くないのである。
2019年の終わり頃、まだコンサータなどの処方登録について明確にわかっていない時期、友人にこの話を振ったところ、コンサータを病院で採用していないので無問題と返事が返ってきた。コンサータなどの登録後の毎回の作業は結構面倒だと思う。
自分のコンサータ処方中の14名の患者さんのうち、コンサータ処方後人生が一変し公務員試験に合格し、今は公務員として働いている人が2名いる。そのうち1名に近況を聴くと、コロナ以降結構忙しいと話していた。その人はコンサータは毎日は服薬していない。仕事をしない日は必要がないからである。コンサータの用量も18㎎である。その患者さんはコンサータという薬がなかったなら、大学卒業さえ難しかったと思う。
今回、患者登録をしながら思ったことは、登録数が14人とかそのくらいだったらなんとかできるが、30人とかだとうんざりなので、できるならこれ以上増やしたくないこと。確かに、この登録制度は処方数の抑制効果はあると思う。
特にコンサータの登録制度はコンサータの有用性と薬物的リスクと見合っていない。
また、ただでさえ書類が多いのに、これ以上、増えるのは精神科医の働き方改革にも反していると思う。過去ログには精神科医が書類に忙殺されるといった記事がある。




