現代風シュナイダーの1級症状 | kyupinの日記 気が向けば更新

現代風シュナイダーの1級症状

このブログが始まった頃に、シュナイダーの1級症状について触れた記事がある(シュナイダーの1級症状 )。

 

クルト・シュナイダーの定義した1級症状
1.思考化声
2.批判的幻聴
3.ダイアログ(複数人の対話)形式の幻聴
4.身体への悪意ある行為や影響
5.思考伝播
6.思考奪取
7.作為体験
8.関連妄想・妄想知覚

 

過去ログでは、これらの所見は国家試験的には有名だが、典型的にこれらの症状を語ってくれる患者さんは多くはないこと、むしろ1級症状は非定型精神病にみられるなどを記載している。

 

ある日、「これはシュナイダーの1級症状だ!」という内容を語る統合失調症の入院患者さんを診た。それは以下のようである。

 

陸上自衛隊が、テレコミュニケーションを送ってくる。自分の考えることをすぐにキャッチするんです。だから陸上自衛隊の人は、なんでも自分の考えていることがわかる。

 

警察が自分を殺そうとしている。自衛隊は味方です。僕を助けようとしている。全然、自衛隊と警察は違うんですよ。

 

病院には時々、警察から(患者として)使者が送られてくる。でも先生たちがいるので(彼らは)簡単に手が出せません。

 

僕は質問した。「なぜそうなったのですか?」


日本の警察はマルチ商法を嫌っているんですよ。自分はインターネットショップを出して儲かってました。ちょっとマルチっぽいやり方だったので、目をつけられたと思う。国際的犯罪集団と間違われたのです。先生たちが守ってくれているので、この病院から出たくないです。ここにいれば安心です。

 

彼がインターネット上にショップを出していたのは、どうも2000年以前らしい。既に何らかの症状が出ていてショップを出したのか、何らかの顧客とのトラブルを契機に発症したのか詳細は不明である。

 

この内容は現代風だが、21世紀的ではないよね。いや、なんとなく。

 

これらの内容には、1級症状の以下の症状、

 

4.身体への悪意ある行為や影響
5.思考伝播
6.思考奪取
7.作為体験

8.関連妄想・妄想知覚

 

などが診られる。今時、ここまで明瞭に語ってくれる統合失調症の患者さんはむしろ珍しい。

 

広汎性発達障害がこじれたタイプの統合失調症様状態には、これらの古典的症状がきれいに合併することはほぼない。

 

この辺りも鑑別の目安にはなると思うが、典型的統合失調症の患者さんに1級症状はそうは診られないので、診断の資料としては必要十分条件にもなっていない。

 

広汎性発達障害の人たちの異常体験は、統合失調症っぽくても、二次妄想的な発展の形跡があることが多い。それは自己評価の低さや、劣等感、感覚の過敏さなども背景にある。

 

上の内容は、あまりにも荒唐無稽である。また、この妄想は一朝一夕にはできない。

 

参考

統合失調症っぽくない妄想

統合失調症の荒廃と器質性荒廃の相違点
内因性幻聴と器質性幻聴

嫉妬妄想の話

統合失調症の診断は・・