心理療法士の勉強会 | kyupinの日記 気が向けば更新

心理療法士の勉強会

僕が4年目、28歳頃のことだろうか?
臨床心理士の女の子に誘われて、勉強会に出たことがあった。その時、もうはっきりとは憶えていないのだが、精神科医の参加者は僕だけだったような記憶がある。その勉強会にはオーガナイザーというか、中心になってアドバイスする心理士がいたが、その人の実力は相当なものだと後で聞いた。勉強会の流れ的には、発表者がどのようなカウンセリングをして、どのように症状が変化していったかというものだった。そのカウンセリング内容に対し、オーガナイザーがコメントするのである。

その日の発表者の女性は大学院生で、不登校の男の子にカウンセリングの発表だった。その発表会は紛糾した。なぜなら、そのひよこカウンセラーには、どうも言ってはいけない言葉があったらしいのだ。オーガナイザーは、カウンセラーがそういうことを言ってしまったら、不登校が家庭内暴力に発展すると強くカウンセリングの失敗を非難していた。どう考えても、その勉強会では、その若いカウンセラーをイジメていたと思う。

その時、僕は「ただそれだけのことを言ってしまっただけで、不登校が家庭内暴力になってしまうものだろうか?」と阿呆のように思った。

あと思ったことは、その大学院生は小柄でなんとなく気弱な人に見えたので、そんな勢いで失敗を指摘されたら、パニック障害にでもなりそうな気がしてその方を心配した。勉強会だし、ましてアマのカウンセラーなんだし、もう少し良いところを誉めたりしてやっていかないと、カウンセリングが難行苦行になりかねない。カウンセラーが、必要以上のプレッシャー受けてカウンセリングをするのでは、良い治療ができないと思ったのもある。

その日の最大の僕の疑問。
もしカウンセリングで、そういう禁忌的なアドバイスがあったとしたら、そのようなカウンセリングは最初から受けない方が良いと思ったこと。なぜなら、完璧なカウンセリングは常人には無理に思えるから。神クラスでないと。そのようなちょっと危ないアドバイスが混じりかねない心理療法は、僕の子供には受けさせられない(子供はいないんだけど)。

このように、心理療法士と僕のように薬物療法を重視した精神科医は、かなり住んでいる世界が違うのである。僕は精神科医でも薬物療法派で精神疾患の生物学的要因を重視したスタイルなんだが、一応、フロイトやユングなどがどのようなことを言っているかは浅く広く勉強はしている。一時期、興味を持って集中的に書物を読んだ。それでずいぶん自分自身が変わったので、結果的には勉強して良かった。このブログでも、夢に関するものとか、そのような項がある。

精神科医には、心理療法を頭ごなしに曖昧で胡散くさいものと言う人たちがいるが、あまり知らないで言うのはどうかと思う。いろいろあったが、結局、精神科医として、今のようなスタイルになっていったのである。