ジャズをあまり聴かなくなってから久しい。
自分でも「これはジャズだ」と思って演奏することもほとんどない。
まあ即興演奏は日常なので広義ではジャズなのかもしれないけど…いややっぱり違うだろう。
今まで「ぼくの中のジャズ」みたいな定義はしたことがなかったし、今もやろうとは思わないし。
その辺はまあいいか。
とは言え先日、ピアノとのデュオでスタンダードジャズナンバーを演奏する仕事があった。
以前はピアノとのデュオ、よくやってたんだけど久しぶりだった。
アコーディオンとのデュオ(Orso bruno)は日常だけどね。
で、ピアノとやっているとやっぱり面白いんですわ、ジャズナンバー。
<小難しい>アプローチなどしないしできないけど、それでもコード進行に沿ったアドリブはスリリング。
こんな当たり前のことを書くこと自体も新鮮に思えるなぁ。
それでもってピアノとサックスのデュオの名演奏を聴きたくなった。
いくつか思い当たるが、やはりとどめはこれだろう。
スタンゲッツとケニーバロンの「ピープルタイム」。
ライブ盤にして、スタンゲッツのラストアルバム。
それのコンプリート盤を引っ張り出した。
- People Time-Complete Reco/Stan Getz & Kenny Barron
- ¥5,817
- Amazon.co.jp
91年にコペンハーゲンの「カフェモンマルトル」で4日に渡って行なわれたライブ盤。
7枚組、50曲ほどの内容。
スタンゲッツによるアナウンスから、チューニング(!)まで収められている。
日によって同じ曲を演奏するので曲名だけみるとかなりダブっているが、それはジャズ、内容は全然違う。
たとえばお気に入りの「ステイブルメイツ」は3テイク入っているが、最初の2つはサックスから徐々に入っていくようなアプローチ。
2つめのテイクの終わりの方でケニーバロンが思わず弾いたリズムパターンがゲッツさん、気に入ったのだろう。
3つめのラストテイク(先にリリースされた2枚組で使われたテイク)はこのリズムパターンから始めている。
全体を通して聴いた誰もが指摘しているが、体調が思わしくないはずのスタンゲッツのプレイが何とも溌剌としている!
とてもこれが最後の録音になるとは思えないパワフルさとイメージの広がり。
枯れた部分なんてまったくない。
実に素晴らしい!清々しい!力強い!
それを受けて、ケニーバロンも冴え渡っている!
そしてそれらはぼくに深い感動を与えてくれる。
昔スタンゲッツが来日したときに聴きに行ってそのショボショボなプレイにがっかりしたことがあったけど、このデンマークでの演奏は完全に開き直っていて迷いがない。
ああ、この精神でぼくもいつも演奏をしたいものだ。
ジャズか否かってことではなくて。
あ、演奏って枠組みさえ超えて。
最近ちょっと落ち込むこともあったが、このアルバムをまた聴いてよかった!
思わず言葉が浮かんだよ。
「いつも死ぬ前の覚悟が自然体」。
これだね。
でもこれはぼくの好きな山頭火の句と同じことだった。
すなわち、
どこでも死ねるからだで春風