青山美智子さんの小説『お探し物は図書室まで』を読み終えました。
僕が、青山さんの作品を読んだのは『赤と青のエスキース』、『ただいま神様当番』に続いて3作品目。過去2冊とも面白かったので、読んでみることにしました。
2020年11月に単行本発行、2021年の本屋大賞第2位となり、2023年3月に文庫本が発行され、僕が読んだのは2025年2月の第11刷です。
*表紙の画像はネットからお借りしました
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。
狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまいます。
話を聞いた司書さんは、一風変わった選書をしてくれます。図鑑、絵本、詩集......。
そして選書が終わると、カウンターの下にたくさんある引き出しの中から、小さな毛糸玉のようなものをひとつだけ取り出します。本のリストを印刷した紙と一緒に渡されたのは、羊毛フェルト。「これはなんですか」と相談者が訊ねると、司書さんはぶっきらぼうに答えます。 「本の付録」と――。
自分が本当に「探している物」に気がつき、
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。
年齢も性別も職業も違うけど、仕事や人生に行き詰まりを感じている5人各々について綴られた連作短編集の構成になっています。
各自が訪れた町の小さな図書室で、風変わりな司書さんに悩みを話し、これまた一風変わった本を勧められるとともに付録の羊毛フェルトを受け取るところから始まります。
勧められた本を読むにつれ、自分の悩みが解決する方向性に気づき、更に付録の羊毛フェルが意味をも持って明日への活力を後押しするという巧妙なストーリー展開![]()
5人各々、一人づづ悩みが解決して完結しますが、他の章の4人がちょっとストーリー中に登場したりして、悩みが解決して快活に前を向いている姿が描写されているのも面白い![]()
また、文中で司書さんが本について語る「本も、そうなの。作り手の狙いとは関係のないところで、そこに書かれた幾ばくかの言葉を、読んだ人が自分自身に紐づけてその人だけの何かを得るんです」というところは、「ほんま、その通りやん!」と思いながら読みました。
読了した青山さんの3冊を振り返ると、本書は『ただいま神様当番』を踏襲するような構成となっていて、伏線回収の描き方が本書より後に発刊された『赤と青のエスキース』で更に進化して繋がっているように感じられます。
