大戦末期の艦艇の塗装について(考察)
アテにならない書籍はガン無視して、自分の目で見た1次資料、即ち写真、及び公文書から、大戦末期の艦艇の塗装については、次の通り有力と思われる。
帝國海軍の艦艇において、撃沈されずに生き残った艦艇の著名なものを抜きだすと次の通りに分類できるのではないか。
【◎:間違い無し 〇:可能性高し △:可能性中 ▼:可能性低】
●緑色系(外舷1号2号)迷彩塗装
(カラー映像や写真などから強く支持される艦艇)
戦艦「長門」△
戦艦「日向」◎ ■■
戦艦「伊勢」◎ ■■
航空母艦「隼鷹」◎ ■■■■
航空母艦「天城」◎ ■■■■
航空母艦「海鷹」▼
●青色系(N1、L1酷似)大戦末期対潜対空迷彩塗装
(カラー映像や写真などから強く支持される艦艇)
航空母艦「葛城」〇 ■■■■
航空母艦「笠置」◎ ■■■■
航空母艦「阿蘇」◎ ■■ 珍しい島嶼迷彩
航空母艦「生駒」◎ ■■
航空母艦「伊吹」◎ ■■
〇メジャー22系酷似大戦末期呉海軍工廠迷彩塗装
(カラー映像や写真などから強く支持される艦艇)
駆逐艦「涼月」◎ ■■
駆逐艦「宵月」◎ ■■
駆逐艦「初霜」〇 ■■
駆逐艦「潮」◎ ■■
●灰色系迷彩塗装
重巡洋艦「高雄」〇 ■■ 柄はともかく色は怪しい
重巡洋艦「妙高」〇 ■■ 柄はともかく色は怪しい
●灰色系ダズルのような迷彩塗装
戦艦「榛名」〇 ■■
〇迷彩模様は確認できるものの、どのような色であったか不明様な艦艇
重巡洋艦「利根」■■(柄はセレター迷彩に近い)
軽巡洋艦「大淀」■■■(戦車に施される様な複雑で細かい陸上迷彩)
軽巡洋艦「酒匂」■■■(意味不明な実験的なアート迷彩)
〇迷彩塗装が確認できない(されていたかも知れない)艦艇
航空母艦「鳳翔」■
航空母艦「龍鳳」■
重巡洋艦「青葉」■
軽巡洋艦「北上」■
軽巡洋艦「香取」■
駆逐艦「竹、桐、杉、槇、樫、榧、楓、楢、椿、欅、柳」■
駆逐艦「楡、蔦、萩、柿、椎、萱、榎、楠、樺、雄竹、初櫻、初梅」■
駆逐艦「冬月」■
駆逐艦「春月」■
駆逐艦「夏月」■
駆逐艦「花月」■
駆逐艦「雪風」■
駆逐艦「響」■
アメリカ海軍の公式資料として、戦後の日本艦艇について独立した調査報告書である V-32 "Camouflage of Japanese Ships and Naval Installations" が存在している。更にNHHC自身が呉の航空母艦「葛城」について、
heavy camouflaged
と記述しており、特に甲板上には偽建物、樹木、砂が撒かれた道路まで設置されていたことを記している。
だがこれは塗装での表現ではないということに注意が必要なのに、迷彩模様と誤訳した認識がどうも広まっている感じがする。
航空母艦の迷彩塗装は錯視迷彩なので、田んぼや道路を模したものではない。
この記録中から目についたのが、大日本帝國海軍連合艦隊最後の旗艦である軽巡洋艦「大淀」の迷彩塗装。

戦後に数多く撮影された写真では、近づいて初めて判るかなり細かい迷彩塗装が施されていることが判断できる。

後部格納庫に見える迷彩パターンをトレースしたもの。
長8サンチ高角砲ブルワークの迷彩パターンをトレースしたもの。
戦艦「榛名」、軽巡「酒匂」の迷彩と並び、かなり異色だ。
軽巡洋艦「酒匂」の1番タレットの迷彩も起こしてみたけどかなり特殊な海藻みたいな模様だ。

航空母艦が対空錯視迷彩塗装であったのに対し、巡洋艦以下の艦種は、試行錯誤があった様子が見て判るとは言え、この3艦の特異さは抜きんでている感じが否めない。
港湾の曳船なども含め、陸上迷彩よりにしているのは写真からも明らかなのだが、この軽巡洋艦「大淀」にはかなり複雑な迷彩模様が描かれていたことが戦後の写真から判る。
面白いのがリノリウムは暫時剥がされ、上空から見える甲板部分は徹底的に暗色(黒など)で汚されていた、との記録があるが、1次資料である写真には剥離部分はあるもののリノリウムが写っている。
ここは、リノリウムにも炭を擦り付けた程度の表現が適切ではないだろうか。
現代の艦艇に大きな影響を及ぼした軽巡洋艦「大淀」の最終時の色は何色だったのだろうか。
それを一程度結論づけてみたいのだが。
果たして・・・。
今回は考察回だが、興味深いテーマである為、情報が蓄積されたら更新していくようにしたい。
