僕がここ、菊池市村吉の地に蒸留所を構えてから、少しずつこの土地との深い絆を感じる出来事がありました。今日は、蒸留所の裏手に広がる小さな山と、そこに眠る大切な記憶、そして今私たちが取り組んでいる「山のお手入れ」についてお話しさせてください。

偶然の出会いが呼び覚ました、幼少期の記憶

この場所との出会いは、菊池市の空き家バンクでした。 一目で気に入り、ここで新しい挑戦を始めようと決意して購入したのですが、驚くべきことに気がついたのです。

じっと景色を眺めているうちに、ふっと幼い頃の記憶がよみがえってきました。 「……ここは、おばあちゃんが育った場所だ」

 

実はこの村吉地区は、私の祖母の実家があった場所でした。幼い頃、祖母の手に引かれて何度も遊びに来ていた、あの懐かしい風景そのものだったのです。たくさんの物件の中から偶然選び抜いたこの場所が、まさか自分のルーツであり、祖母の故郷だったとは……。まるで見えない縁に導かれてこの地に帰ってきたかのような、言葉にできない感動が込み上げてきました。

荒れ果てた山と、圧倒的な存在感を放つ巨木

 
 

しかし、再会した思い出の裏山は、長い歳月のなかで手入れが行き届かなくなり、うっそうとした竹林や雑木に覆われ、すっかり荒れ果ててしまっていました。

そんな厳しい環境の中でも、山の奥で変わらぬ圧倒的な存在感を放ち、私たちを待っていてくれたものがあります。 それが、樹齢数百年間、もしかすると千年を超えるかもしれないと言われるイチイガシの大樹――地元で「村吉天神さん」と呼ばれる御神木です。

祖母が子供だった頃も、さらにその何百年も前からも、この地をずっと見守り続けてきた大先輩。その神々しくも優しい姿を見たとき、強く胸に沸き起こる想いがありました。

 

「この山をもう一度きれいに整備して、誰もが気軽に訪れ、心地よく過ごせる場所にしたい」

 

 

 

誰もが訪れられる場所に。裏山再生への第一歩

かつて祖母や家族が愛したこの風景を、ただ荒れたままにしておくわけにはいきません。そして、この素晴らしい「村吉天神さん」のふもとを、地域の方や蒸留所を訪れてくださる方々が、木漏れ日のなかで一息つけるような美しい場所に再生したい。

そんな願いを込めて、現在、少しずつですが裏山の整備を進めています。

密集して光を遮っていた竹を切り出し、雑木を払い、地面にふたたび光が届くように汗を流す毎日です。体力的には大変な作業ですが、一歩進むごとに山が軽くなっていくような、大樹が喜んでくれているような気がして、とても清々しい気持ちになります。

 

 

この場所がいつか、豊かな自然と植物細胞水、そして人々の笑顔が集まる素敵な空間になる日を夢見て。

これからも裏山の変化の様子や、村吉天神さんの四季の姿をブログで少しずつお伝えしていきますね。樫の木蒸留所の新しい挑戦を、温かく見守っていただけると嬉しいです。