「日本は食糧難になる」
今から25年前、私がそんなことを言って始めた事業が、この「自然派きくち村」です。
当時はちょうどバブルが終わったころでしたが、日本経済はまだまだ世界でもトップクラス。誰もが「日本は豊かで安全だ」と信じて疑わなかった時代です。
そんな中で、「日本は食糧難になるから、今すぐ自給率を上げないといけない!」と大真面目に啓蒙活動をしていたわけですから、周りからは当然、きちがい扱いでした(笑)。「何を馬鹿なことを言っているんだ」と。
当時、私がずっと言い続けていたのは、とてもシンプルなことでした。
「日本が世界で経済的に優位なときは、お金で食料が買えるから良い。だが、経済的に優位じゃなくなったときは、必ず食料危機が訪れる」
あれから、25年という歳月が経ちました。
いまの日本経済を見て、みなさんはどう思われるでしょうか? 日本の食糧やエネルギー問題は、本当に大丈夫だと言い切れるでしょうか?
歴史的な円安、相次ぐ物価高、世界市場での買い負け……。25年前に私が危機感として抱いていたことが、いま、恐ろしいほどの現実となって目の前に迫っています。
そして、経済以上に私がいま強い危機感を持っているのが、私たちの食を支える「農家の現場」の崩壊です。
私が事業を始めたころに比べて、日本の農家人口は驚くほどの勢いで激減しています。いまや農業を主な仕事とする人は全国で約100万人強。この5年だけでも実に2割以上の農家が辞めていきました。いまや農業をやっている人は、日本人の「100人に1人」すら下回っているのが現実です。
さらに、現場を支えてくれている農家の平均年齢は、すでに67歳を超えています。 「あと5年、10年経ったとき、一体誰がこの国の田畑を守り、食べ物を作っているのだろうか?」 そう考えると、背筋が寒くなります。
経済の力が落ちて海外から食料が買えなくなったとき、国内の生産現場まで空っぽになっていたらどうなるか。それは「お金を出しても食べ物が手に入らない」という、本当の食料危機の到来を意味します。
しかし、こんな状況になっても、まだ危機に気づいていない人たちはたくさんいます。スーパーの棚にモノが並んでいるうちは、その裏側にある危うさが見えないのかもしれません。
だからこそ、私はこれからも言い続けます。 そして、自然栽培や無添加の食を通して、頼もしい生産者の方々と手を取り合い、日本の食の足元を守る活動を絶対に止めません。
25年前に変人扱いされてもブレずにやってきたこの道が、これからの日本にとってどれだけ大切なものになるか。
まだ気づいていない人たちにも届くように、これからも「自然派きくち村」は信念を持って歩んでいきます。
