こんにちは。
僕の本棚からおすすめの一冊をお届けしている「読書日記」。
実用書を続けてご紹介してきましたが、今日は少し、心の深いところに触れる小説を選びました。
『タカラモノ』
和田 裕美 (著)
この本は、自由奔放な母親「ママ」と、その娘・ほのみの成長を描いた家族小説です。
ママは、いわゆる理想のお母さんとは違います。恋もする。仕事もする。ときには家族を置いて出ていってしまう。娘のほのみが、そんなママに振り回され、反発し、傷つくのは当然のことでしょう。
「もっと普通のお母さんだったら」
「もっと安心できる家庭だったら」
そう思いたくなる場面もあります。けれど、この物語は、ただ「破天荒な母親に泣かされる話」ではありません。
読んでいて僕が感じたのは、過去は変えられない。でも、過去の意味は変えられる。ということです。
和田さん自身、実のお母さまをモチーフにこの作品を書かれています。書く前には、自分の子ども時代をかなり不幸だったと感じていたそうです。
でも、物語にして人生を見つめ直すなかで、「自分は幸せだった」と思えるようになった、と語られています。
起きた出来事そのものは、変わりません。
寂しかったこと。
腹が立ったこと。
わかってもらえなかったこと。
それらが消えるわけではない。
ただ、大人になった自分が別の角度から見つめたとき、そこにあった愛や、受け取っていたものが見えてくることがあります。
『タカラモノ』は演劇にもなっていて、以前、僕も観劇に行きました。舞台になることで、ママの不器用さや生命力、そして母と娘のあいだにある簡単には言葉にできない感情が、いっそう胸に迫ってきたのを覚えています。
あなたにも、思い出すと少し苦しくなる過去があるかもしれません。でもその中に、まだ受け取っていない贈り物が眠っていることもあります。
幸せな人生とは、幸せな出来事が多い人生ではない。
過去の中から「タカラモノ」を見つけられる人生なのかもしれない。
あなたには、まだ受け取っていない「タカラモノ」があるのかもしれない、と思う過去の経験はありますか?
よかったら、コメント欄で教えてください。
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