7日目に胚盤胞になった胚でも妊娠・出産できるのか | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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胚盤胞は通常、受精後5日目から6日目に形成されますが、一部の胚は7日目になって初めて胚盤胞になります。このようなDay 7胚盤胞を凍結して移植する意味があるのか、それとも発育が遅いため妊娠の可能性が低く、保存する必要がないのかは議論されてきました。今回Human Reproduction Updateに、Day 7胚盤胞の臨床成績をまとめたsystematic reviewとmeta-analysisが報告されました。

 

この研究では17件の後ろ向き研究を解析し、Day 7胚盤胞2908回の凍結融解胚移植について、Day 5、Day 6胚盤胞と比較しています。

この図を見ると今回の結論が非常に分かりやすく、Day 7胚盤胞では染色体正常率、着床率、臨床妊娠率、継続妊娠率、生児獲得率がいずれも低く、流産率は高いことが示されています。 まず臨床妊娠率はDay 5が58%、Day 6が47%、Day 7が27%でした。

Figure 2では各研究の結果をforest plotで比較しており、Day 7の臨床妊娠率はDay 5に対してOR 0.26、Day 6に対してOR 0.38と有意に低下しています。 

 

さらに重要なのが生児獲得率です。

12研究、Day 7胚盤胞2687移植を解析すると、生児獲得率はDay 5で50%、Day 6で38%、Day 7では19%でした。Day 7は明らかに成績が低いものの、注目すべきなのは19%という数字です。発育が遅いからといって、妊娠・出産する能力がなくなっているわけではありません。 では、Day 7の成績が悪いのは染色体異常が多いからなのでしょうか。6研究で5221個のDay 7胚盤胞を解析すると、euploid率はDay 5で55%、Day 6で46%、Day 7では36%でした。確かにDay 7では染色体正常胚の割合が低くなっています。 しかし今回非常に興味深いのは、PGT-Aでeuploidと確認された胚だけを比較してもDay 7の成績が低かったことです。

 

euploid胚の生児獲得率はDay 5で59%、Day 6で46%、Day 7では22%でした。つまり染色体が正常であっても、7日目まで胚盤胞にならなかったという発育速度そのものが、胚の能力を反映している可能性があります。 流産についても同様です。Figure 4では全体の流産率がDay 5で15%、Day 6で18%、Day 7で21%でした。

さらにFigure 5でeuploid胚だけを見ると、Day 5が10%、Day 6が13%、Day 7が26%となり、Day 7はDay 5より有意に高い結果でした。染色体正常であれば胚の能力が完全に同じになるわけではないことを示唆する非常に興味深い結果です。 一方、出生した子どもについては現在のところ大きな心配を示す結果はありません。早産、2500g未満の低出生体重、先天異常についてDay 5、Day 6、Day 7の間に明確な差は認められませんでした。

ただし、この点を調べた研究はまだ少ないため、安全性が完全に確認されたという意味ではありません。 ではDay 7胚盤胞は凍結せず廃棄した方がよいのでしょうか。

著者らの結論はそうではありません。Day 5、Day 6より成績は明らかに低いものの、Day 7でも生児獲得率は全体で19%あり、施設や条件によっては20%を超えます。

特に採卵できる卵子が少ない方、高年齢の方、Day 5やDay 6で保存できる胚がほとんどない方、次の採卵を行う時間的余裕が少ない方では、Day 7まで培養することで一つでも多くの妊娠機会を残せる可能性があります。

 

 今回の研究から言えることは、Day 7胚盤胞はDay 5、Day 6と同じ価値の胚ではありませんが、決して「妊娠しない胚」でもないということです。移植する優先順位としてはDay 5、Day 6を先にすることが合理的ですが、特に胚の少ない患者さんではDay 7だからという理由だけで培養や凍結の対象から外すべきではないと考えられます。

発育速度も胚の重要な評価項目である一方、最後まで可能性を残すという意味でもDay 7胚盤胞には臨床的な価値があることを示した研究です。

 

Clinical outcomes of Day-7 blastocysts: a systematic review and meta-analysis. Firmin J, Ducreux B, Saidessalam H, et al. Human Reproduction Update. 2026;