狂躁亭短信・船越サンのこと1707171600 | おととひの世界

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リンクも始めましたよ

今話題のあのカタ
ではありませんよ
便乗商法でもありません
これって便乗かね?

あのおカタのお父様
往年の『大船調』時代の
松竹大船撮影所の看板

東宝の黒澤明に代表される
アップダウンの激しい活劇ではなくて

どちらかと言うと家庭人
普通の人

人情ありメロドラマあり
ラブシーンはあるけれども下品ではなく

偉い人上流階級の人ではなく
できるだけ庶民の話

ペシミスティックな
悲劇的な内容ではなく
まだ夢や希望を持たせる話

木下恵介監督とか
小津安二郎監督がおられた頃の
大船撮影所でとられていた映画

おそらく大船調最後の流れというのが

あの『男はつらいよ』だったと
思うんですけれど
山田洋次監督は

若い頃にずいぶん小津安二郎監督に
反発しておられたと語っておられますが

オズ松竹映画の嫡流こそ
山田洋次監督ですよね


大船撮影所黄金時代の
代表的な二枚目スター
亡くなった船越英二さん

私全然別の場所で二度偶然に
道を訊ねられた事がある

船越英二さんはほぼ同じ格好
ステッキをついておられました

腰が曲がっているとか
そういうことはない
むしろ矍鑠としている

そして下品ではない
本当に上品な着こなされた感じの
帽子を被っておられました

ちなみに私
あれほど日本人で帽子がお似合いのカタ
あまり見たことがありません

山高帽なんてハゲ隠しですよね
ほとんどの場合が
それでなぜだかコロン
ぶっかけまくってるやつが多い
何ででしょうねあれ?

もちろん私服に詳しくないから
銘柄なんてわかりませんけれども
バッチリ着こなされた
一分の隙もない着こなし

  『   失礼いたします
   お急ぎのところ申し訳ございませんが
   道をお教えいただけませんでしょうか?』

とても上品にかっこよく帽子をとって
そう頭を下げられたんですよ
チンドン屋みたいな出で立ちの私にね

もちろん一見して船越英二さんで
あることはすぐに


じろじろ見るのも驚くのも
失礼な気がして
こちらも少し会釈して

聞かれた場所が少々
分かりにくいところだったので
歩いて10分ほど

道案内をして差し上げました
もちろん帽子を取って
丁寧に会釈されました

本来当たり前の事なのかもしれないけれど

その当たり前を
あれほどキマった形でやられると
ちょっと圧倒される感じでしたね
それくらい丁寧で上品

感銘せざるを得ませんでした
ちょっと考えちゃいましたよ

日本人が皆が皆あーだったら
だいぶんヨソで評判がいいだろうなと

かつてはああいう日本人が
たくさんいたのかも?
小津安二郎の『東京物語』など
欧米の人々も見て

日本にはこのような貴族的な人が
まだいるのかと
そう思ったと言う人の話
たくさん聞きましたよ

しかし船越英二さんは
そのまんまの人なんですよね

立ち居振る舞いから出で立ちから
おそらく人間性まで
下品さなんて微塵もない人
かけらもない人

気高さと誠実さが
完全に一体化している
そんな感じのひとでした

そういう生き方
してこられたんだろうなと
付け焼き刃ではまず無理
生き方それじたい
芸術的なんだろうなぁと


威圧感は全くありません
むしろその逆ですよ

だいぶ経ってから
その場所と全然離れたところで
全く偶然に

船越さんに道を聞かれた
船越さんも覚えていてくださって
驚いておられました
やはりこちらも案内して差し上げました

その時はあれこれお話ししましたね
その時も思いましたね

偉そうな話は一切しない
もちろん大言壮語もない

ごくごくフツーの話
しかし重みがありましたね
そういうお話ができる人
あまりいないんですよね

『大人格が姿かたちになっている』
ってところの凄さね

これが恥ずかしくない
日本人のあるべき姿なんだと

おそらくそういう日本人は
かつては多かったんでしょうね