・・・不幸中の幸いというかこれ私有地じゃなかった。私有地で見つかっちゃうとエライ事なんですよね。例えば皆さんのお宅の庭から徳川埋蔵金が発見されたとする・・。抵当権を主張できる第三者がいない限り、それは出てきた土地所有者のものになります。売り払えばそれなりに金にはなるでしょうから、これは正(せい)の所有権とても言えばいいのかな?
ところが出てきたもの、見つかっておめでたいものばかりじゃありません。掘り返したら死体が出てきた・・・なんてのは論外にしても、今回のようなラジオアイソトープとか、処分に困るような化学物質・・・・・見つかっちゃう可能性はそれなりにあるわけですが、不幸にして見つかってしまった場合。その場合でも負の所有権というか、その土地の所有者の財産になってしまう。どうみても間違いなくマイナスの財産にしかならないけど・・・。
ややこしい化学物質だって分解して無害化するにはそれなりに力ネがかかります。化合物ならプラズマ処理で水素や酸素その他に分解できるかもしれない。問題は例えばヒ素のように、大変有害な物質それ自体が元素であるような場合。元素である以上それ自体分解できないわけです。となると安全な場所に保管してもらうしかないけど、これは法律の縛りがあるので大変金がかかります。毒劇物を管理する法律はそれなりに厳密で、違反するとただではすみません。カネか?懲罰か?前門の虎後門の狼です。
この度のような放射性物質。ラジオアイソトープ。
今福島で大量に溜まっているわけですが、びんに入っている程度の少量でも、1年間の保管代だけで数千万円、最初処分費用となるとだいたい数億円です。おいそれと負担できる人がいるはずもなく・・・。掘り出されてしまったら100年目。最悪の掘り出し物。
まあこれはお金持ちにしか縁がないことだろうと思いますけれど、この種の話で一番身近なのが実は不発弾です。第二次世界大戦時、サイパンやテニアンが陥落。これが昭和18年後半。米軍がそこの飛行場整備して基地にしてB29による本土空襲が始まった。全国各地で空襲はありましたが、もっとも狙われたのが関東平野だった。B29の編隊がまっすぐ北上し、富士山を目印に関東平野に侵入。そこで右旋回して空襲をやった。
よく知られた話ですが旧日本軍は風船爆弾なる新兵器を作っていた。歩留まりが極めて悪かったが向こうで山火事起こす程度のことはあった。これは日本上空を蛇行するジェット気流の存在をよく知った上で利用したものでした。
ところが米軍、1万メートル上空を飛べる重爆撃機を作りながら、日本に来るまでずっとジェット気流の存在自体をつかんでいなかった。知らないのに爆弾はバンバン落としたわけです。250キロ500キロ、そして1トン爆弾。おそらく多くはTNT爆薬です。爆薬と火薬は根本的に別物です。爆薬はプラスチックに近い化合物。しかし火薬は複数の材料の混合物です。火薬は湿気によってもえなくなる。しかし火がつきやすい。その一方で爆薬は強力ながら導爆線(導火線ではありません。爆薬をひもにまぶしたもので、着火すると水の中でも消えません)もしくは信管によらなければ普通は起爆しない。ゴルゴ13なんか見てると、よく爆薬を銃弾で爆発させる話がでてきます。おそらく作者はよくわかっているはずですが、もしまともな爆薬を銃弾で爆発させようと思ったら、100万発当てて1回爆発するかしないかです。爆薬ってのはそれくらい安定している。でなければ爆撃なんかに使えませんよ。だから不発弾といっても、そう滅多なことで爆発はしない。電子レンジの中に・・とか、落雷の直撃を受けるとか。
しかしその一方で、爆薬は簡単に分解されません。平たくはっきり言えば腐らないわけです。なので50年経っても100年経っても爆発する可能性がある。究極の迷惑物質です。そういうものを米軍が大量に日本の上に落としたままにしている。サンフランシスコ講和条約で文句は言えないことになっています。
だいぶ脱線しましたがジェット気流、こいつのせいで上空1万メートルから落っことされた爆弾のうち、正確に目標に命中して爆発したのは2割前後。残りの8割近くは不発弾になって残っていると考えられています。アメリカ軍の最重要目標は立川周辺の軍事施設と三鷹にあった旧中島飛行機の工場でした。当時その周りが宅地開発が進んでおらず、大半は畑など農地だったんです。したがって土は柔らかい。上空から落ちてきた爆弾は最大地下10メーター以内のところで止まるはずです。当時人口が少ないし目撃者もいない。したがってどこに埋まっているのか見当もつかない。現在その上の多くは新興住宅地です。町名で本町と新町とがある場合、新町の方が戦時中は農地だった可能性が高い。したがって不発弾がある可能性も高くなります。
不発弾が見つかってしまった場合、その処理は自衛隊が完璧にやってくれるはずです。場数をこなしてるという点、さらに完璧な装備、技術力。不発弾処理の実力では日本の自衛隊のみぎに出る組織はそうないはず・・。問題はまず起こりません。
ただしその費用なんですが・・、現在の民法では、先ほどから申している通り、不発弾もまた財産になってしまう・・・。もちろん国も金は出しますが、土地所有者との折半ということに・・・。理不尽なようですがこれが現実なのです。
東京や神奈川の西部、複数の鉄道路線が乗り入れていてターミナルタウンとして発展しそうなのに、なぜか駅前が駐車場だらけ・・・。たいてい地権者が、不発弾が掘り出されるのが怖くて開発できない・・・という場合が多い。実は日本にはそのくらい大量の不発弾がまだあるはずなんです。東京大空襲は昭和20年3月10日だけではない。2度目が5月にもありました。しかし米軍は爆弾を使い尽くしてしまい、それ以後大規模な空襲が起きていない・・。そのことがおそらく原爆投下につながっているはずです。
戦争の後始末というのは、ことほどさように大変なことなのです。忘れてはいけないと思います。