抗生物質と生物の毒 | おととひの世界

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昨日の晩何か書いた時にはこんなことになると思わなかったけど、今日はずいぶん市販薬の副作用の話が新聞ネタになりました。こんなことが増えてくればなおのこと、自分で調べといたうえでちゃんとした薬剤師さんに聞くことでしょうね。まともな薬剤師さんなら薬理的な機序まできちんと教えてくれるはず。現在生物の成分、アミノ酸が組み合わさったペプチドのレベルで薬が合成されるようになってきた。よく効くだろうけど危険ですよね。しかしこういうことは今後進む一方だと思うんで、渡す方も貰う方も勉強していくしか方法がありません。

生物の毒。たいていは人エ毒よりも1桁2桁上のレベルで効く。フグ毒の主成分テトロドトキシン。青酸カリの2000倍でしたっけ?生き物の毒ってのは大体そんな感じです。フグの毒はまだ内臓のあちこちに散らばっている。しかしそれを濃縮して相手に使ってくる奴がいる。ヒョウモンダコ。手のひらほどもないコバルトブルーの斑点のある美しいタコです。とても攻撃的でひと噛みで大人5人殺せる毒を出す。噛まなくても近づくだけで顔に向かって噴射してくるので、顔がしびれたりすることが最近わかってきました。若いダイバーが謎の死を遂げる。かなりがこいつのせいではないかと?伊豆半島や東京湾にもすでにいる。

おそらくフグ毒だったと考えられますが、ハイチの土着宗教ブードゥー。信者にこれを飲ませて土に埋める。毒の作用と酸欠によって大脳前頭葉のかなりの部分が破壊されてしまう。薬理的ロボトミーです。そして死のギリギリのところで助け出す。人間は大脳前頭葉が破壊されてしまうと、反抗もしなくなる代わり自分の力で判断することが全くできなくなる。しかし人間の言うことはわかる。命令に従うだけの生きたロボットになってしまう。これこそホラー映画でおなじみのゾンビの正体です。彼はもともとアフリカから来た人達ですが、古代アフリカにおいてこうした技術があったと考えられます。重大犯罪者などに脳外科手術を施して同じ作用を期待する。ロボトミー手術というのがあって20世紀に行われたことがあります。現在は禁止されています。

最初の抗生物質ペニシリンが青カビから取られたことはよく知られてます。抗生物質というのは生物が増殖する力を止める薬のことです。ですからそれは人間の細胞にも作用する。人間の体で最も活発に分裂してるところというのは毛根であったり脊髄の造血細胞だったりします。抗がん剤で脱毛したり貧血が起こるのはそのためです。細胞の邪魔をする方法もいろいろあり、最後には細胞壁や細胞膜という仕切りがありますから、それができるの邪魔してしまえば・・。あるいはDNAが複製されの邪魔してしまえば・・。最近は細胞の1番小さい要素の1つ・微小管の形成を邪魔してやるというのまであって、その仕掛けはどんどん手が込んできて難しくなってます。

個人的にへえー!と思ったのは阪大だったか?マムシやガラガラ蛇といったクサリヘビ科の毒蛇の毒をがんに仕込んでやろうと。コブラのような神経毒と違って三角頭の蛇の毒は、噛まれたところから徐々に組織を殺す。細胞が生きたまま死んでいくのだから火傷と同じで大変痛い。焼けた火箸を突き刺さされるような痛みだそうです。この毒は組織の毛細血管を作る力をダメにしてしまう。これをガンに・・・という発想。

がん細胞は活発に増殖します。周りの細胞に誤った指令を出して自分のために大量の毛細血管を引っ張り込む。育つには大量の栄養がいるからです。これにヘビ毒をうまく使えばがん組織を兵糧攻めにして痩せ細らせ殺してしまえる!と。すごいこと考える人もいるもんです。

最後に、生物の進化上の最初のルール。それは古いものであっても使えるものはどんどん使っていくというルールです。高等な生物でも複雑な組織がある。体を作るのにいちいち新しい酵素を発明していたのでは時間が足りません。だから人間の体の中にはバクテリアだった頃に使われていた酵素がまた沢山使われています。例えば耳の組織。三半規管の中にはたくさん繊毛や鞭毛がある。これから平衡感覚や聴覚に直接使われている。ゾウリムシを見ればすぐわかることだけど、バクテリアのメカニズムですよね。だからストレプトマイシンのようなバクテリアにも効く抗生物質がかかるとは1発で殺されてしまう。抗生物質で難聴が起こる。実はそういうことなんですよ。

本当に毒と薬というのは表裏一体ですね。生物の体ってのは実に精妙、奥深いメカニズムですよ。