恐るべき完全生物・サソリ | おととひの世界

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「完全生物」、意味不明の言葉です。ただ引っかかる言葉ではあった。リドリー・スコット監督の「エイリアン」に出てくる人間そっくりのロボットが、エイリアンのことをさして定義も何もなしにいった言葉です。

ただそれを聞いた途端に思い浮かんだ生き物が、サソリ・・・。ちょっと手がつけられない相手。完全生物の定義づけにちょっと役に立つか?という例を挙げるとすればこいつしかいない。ファーブルの昆虫記にサソリの不思議な生態について書かれた、大変興味深いー話。飲まず食わず1年近く生きていられる。驚異の生物として。ファーブルは知る由もなかったでしょうけど、サソリ、放射線にも大変強い生き物です。多細胞生物しては、地球の陸上に現れて以来、もっとも古く、もっともその姿を変えていない生き物の1つ。

サソリには単眼が10個。背中の真ん中あたりに2つ。鋏と脚がついている胴体前部に、ほぼ馬蹄形に8っ。なぜこんな変わった目のつけ方なのか?

アニマルプラネットだったか?その番組によれば、遠くの恒星の偏光を検出するためだというのです。

どういうことかというと、彼らは星ぼしの微妙な光の向きや偏り方を、人間が巨大な観測装置によってしかつかめないレベルまで完全にわかっていて、それを使って自分の現在地が正確にわかる、というのです。実際彼らは星のよく見える夜間、繁殖やハンティングのために遠くまで出かける。場合によっては何キロも。そして全く迷うことなく正確に戻ってくることができる。言ってみれば彼らは、地球上に現れた時以来持って生まれたGPSを使いこなすことで生き延びてきた・・。

ホントかよ・・!?!?と思いました。

生き物を数学的にモデル化した場合、そのシステムとしての完成度というか・・?システムの出来を指数化した場合。もちろんそんなことができればの話ですけれど・・・。サソリはおそらく、全地球上の生物の中でもトップクラスじゃないでしょうか?最初に触れてみた「完全生物」という意味不明の言葉。もし地球上の実在する生物にふさわしい奴がいるとすれば、ひょっとしたらこいつかもしれない・・。

海の中にはサメという生き物がいて、彼らも数億年前、恐竜の出現以前からほとんど姿を変えていません。サメもサソリも、システムとして完成されていてそれ以上進化する必要がなかった生き物なんです。

人間の真逆ですね。人間はいわゆるネオテ二ー。幼形成熟型生物の代表みたいなもの。半年か1年で1人前になる動物と違って、いっちょまえになるまで長い時間がかかります。言ってみれば完全生物の真逆の、もっとも不完全な生物かもしれない。しかしおそらくそこに、ここまで急速に進歩し得た秘密があったのだろうと・・・。あまりにも早くに出来上がってしまうと、何事も進歩が止まってしまうのかもしれない。文化文明も、科学も、そして芸術も。

「2001年宇宙の旅」のラス卜に現れる瀕死の神の指先に出現するあの不思議な赤ん坊=スターチャイルド。あれこそネオテ二ーとしての人類でしょうね。