春を呼ぶ声が野山を駆け巡り雪解けの音が聞こえてくれば、野生動物たちも長い冬眠から目覚め、新しい季節の到来と共に活動を始める。
昨年の大震災から一年が過ぎ、東北の地から元気な声が少しずつ届き始めて来たとは言え、地震と大津波の傷跡は今もなお色濃く残り、復興の足取りが順調に進んでいるとは言い難い状況である。
その様な中で急浮上したのが『休眠口座』。これを巡り、銀行側と政府が対立の度合いを深めているが、復興財源の捻出に四苦八苦している政府の思惑と、金融業界の言い分を傍観していて思ったのだが、まるで獲物を横取りするハイエナを連想してしまった。
10年以上に渡って預金の出し入れがない所謂、金銭が休止した状態の現金の事であるが、この休眠預金について、早速わたし自身も自分の通帳をかき集めてみると、静岡銀行、太陽神戸銀行、第一勧業銀行、三和銀行、城南信用金庫、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行…これら7行の通帳が見つかった。
静岡から東京へ引っ越しし、更に都内各地を転々とした生活を送っていたので、それに伴い通帳も増えて行ったのだが、給料が手渡しから振り込み式に変わって来ると、嫌でも自動的に口座を開設せざるを得なくなる。
わたしの様に職場を転々とすれば更に通帳は増えて行く。現在使用中のメインバンクは問題ないが、過去に作った通帳については銀行そのものが統廃合などにより名称が変わってしまい、口座の残高など煩雑な手続きを踏まなければ結果に辿り着く事さえ出来ない。
通帳を放置したまま金銭管理を怠った者にも責任はあるが、1万円以下の預金口座に対し、銀行側からのアプローチが手薄というのも考えものではある。
毎年900億円という莫大な現金が休眠という形で発生している現状に対し、金融機関や政府そのものが何の手立ても打たず、民法や商法に基づいた形で預金者の権利喪失として銀行側の利益に回し、蔵の中に眠らせておくという埋蔵金と、それを掘り出したい政府の台所事情が如何に切迫しているかがよく見えて来る。
何れにせよ『ゆうちょ』の分も含めれば、1千億円を超える現金が活かされないまま冬眠から目覚める事なく今後もこのまま続くとなれば、預金者自身が一斉に解約へと突き進む事になるやも知れぬが、既にその予兆は現れ始めており、銀行のコールセンターはその対応にてんやわんやだそうである。
ある銀行OBの話によると、「通帳一つ作るのに約2千円のコストがかかる」らしい。それを前提にこの休眠口座を捉えてみると、『10年過ぎれば口座忘れる』で銀行側の利益として当然と言う、意図的な放置とも受け取れるのである。
このデジタル一色の時代に、銀行口座管理においてのオンライン管理が10年までであり、それ以降はアナログの紙伝票に化けてしまうというのも納得の行かない話である。
休眠口座を活用しているイギリス、韓国などからも情報を得て、銀行と政府から独立した休眠口座専用の窓口システムを創設し、出来る限りの早い段階で有効活用へとリサイクル運用すべきではないだろうか。
