地球上の主な生物の行動パターンを大別すると、単独行動と群れを作って行動する二通りの種類に分けられるが、人間はそのどちらにも属するという特殊な行動パターンの持ち主である。
政治の世界にこれを当てはめてみれば、より日本の政治が解り易くなるのではないだろうか。政党は一つの群れであり群れの中には当然、それを率いるBOSSが存在する。弱肉強食の野生の世界では、BOSSの存在は絶対であり、力だけではなく優れた頭脳を持つものが、ハーレムの中で絶大な権限を持ち、そしてそれが信頼へと結びつき群れそのものが成り立っている。
社民党の太鼓持ち党首「福島瑞穂」女史にそそのかされたかどうかは知らないが、菅総理の浜岡原発停止宣言で世論が真っ二つに分かれている。
大英断と評価する者もいれば、単なる保身に走ったパフォーマンスと批判する者もいる。停止命令の背景には、東日本大震災と福島原発事故の影響があるのは誰から見ても承知の事実であり、それに連動した形で今後最も高い確立で起こるであろうとされている東海地震に備えるための事。
3.11のような巨大津波に襲われれば、その地形からして浜岡原発はひとたまりもなく崩壊する事は予想が付く。但し、原発は停止したからと言って安全という代物ではない。原発はまさに怪物である。
浜岡だけ停止という点にも疑問の声が上がり、これから夏に向けて電力消費が高まって行く中で、その解決策が抜け落ちた状態で、結論だけ先行させてしまった菅総理の決断は英断と言うより優柔不断と結論付けられるようだ。
わたしは16歳で社会人の仲間入りをしたが、最初の就職先が静岡市沓ノ谷にある「中央工芸静岡支社」(本社は名古屋)だった。
従業員数は15名ほどの小さな会社ではあったが、良き先輩達に囲まれて社会人として良いスタートを切れたと思うし、そしてまた「天国の地図」の原型がこの職場で出来上がったのである。
主な取引先は「中部電力」「NHK」「田中屋伊勢丹」「松坂屋」であった。月に一度のペースで中電から仕事が入り、浜岡原発には何度も足を運んだ。
原発のショールームでイベント会場を作るのが主な仕事だったが、見学者の殆どいない平日などは全く静かなもので二人いた受付嬢の仕事と言えば、飼育している金魚の餌やり。それでいて給料ときたら、わたしの数十倍も貰っているのである。
汗だくになって展示物を片付けるその横を「金魚に餌あげるの忘れちゃったー」と笑顔を振りまいて走り抜ける彼女たちを見上げながら、「ふざけるな」と心の中で呟いたものである。
わたしが、今もその会社に勤務していたとすれば、今回の原発停止は死活問題である。最も大切なお得意様である中電からの仕事を失えば、その影響は自分に降りかかって来る。そしてまた中電の下請けと言う立場から浜岡原発に何らかの事故が発生すれば、自分もその事故現場に駆り出される可能性も高い。
福島の場合もそうであるように、原発が生活の糧となっている人々からみれば、原発停止は生活基盤を根底から覆す行為である。だからと言って「危険触るな」をそのまま放置する事にも大きなリスクがあり、どちらも同時に救う特効薬がないという部分がエネルギー問題の欠陥部分である。
東海地震よりも1974年に発生した伊豆半島沖地震のインパクトが余りにも強かったため、わたしからみればそちらの方が遥かに不気味である。
静岡では伊豆半島が修善寺辺りを境にして本州から分断され、島になってしまうのではという、実しやかな噂が広まった。海底火山の活発な伊東沖やマグマの不気味な動きも気になるところ。
日本列島は全体が地震の巣窟の上にある訳で、過去に一度も地震が起こっていない地域であっても決して安全ではないという事。
その意味から日本の全ての原発は大きなリスクの上に成り立っており、モンスターの上にモンスターを積み重ねてきた全人類への警告が原発事故である事だけは間違いないだろう。
