怪異談 生きてゐる小平次 (1982) ATG | ゆうべ見た映画

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中川信夫監督

 

怪談映画の名手と言われた 

中川信夫監督の 遺作です

 

ずっと前から 気になっていた映画なのですが

やっと観られました

 

上の美しい題字は 天地茂さんだそうです

 

     あじさい

 

時は 江戸時代

登場人物は 三人きり

 

役者の小平次(藤間文彦)

 

囃子方の太九郎(石橋正次)

 

太久郎の女房・おちか(宮下順子)

 

三人は寺子屋で 机を並べ 

いろはを書いた 幼馴染

 

今、小平次と太久郎は 同じ芝居の一座にいるが

それぞれ 大きな夢がある

 

小平次は 

市川團十郎みたいな 人気役者になりたい

太久郎は 

近松門左衛門みたいな 戯作者を目指している

 

だが 二人のいる一座は 

神社や寺院の境内で 小屋掛け芝居をする 

格式低い 緞帳芝居一座

 

食い扶持を稼ぐだけで精いっぱい

 

そして おちかは 

かつて大店に嫁いだが 出戻り

今は太久郎の女房に 収まっている

 

三人は 夜な夜な顔を合わせ

 

「芝居遊び」に興じる

寺子屋時代そのままの 仲の良さであったが

 

実は小平次は おちかに惚れていて

二人きりになると

「俺の女房になってくれ」と 口説き

 

 

おちかも まんざらではない

 

あるとき

太久郎と小平次は 一座の巡業に出かける

 

舞台が休みの日に 二人は釣りに行くが

おちかへの想いが募った 小平次は

船の上で太久郎に「おちかをくれ」と 申し出た

 

これに激怒した 太久郎は

小平次を 川に突き落とし 

竿でさんざん殴りつけ 川に沈めた

 

太九郎は一座を抜け出し 江戸に逃げ帰り 

「小平次を殺した」と おちかにうちあけるが

 

肝の座っている おちかは

「やってしまったものは しょうがない

 足でも洗って ゆっくり お休みな」

 

寝床を用意して ふたりで蚊帳の中に入ると

 

なんと蚊帳の中に 小平次が座ってる

 

 

ぎゃっと、驚いたふたりだが

やがて ああ、死んでいなかったのか

殺人犯にならずに済んだと 落ち着き

三人で お膳を囲むが

 

そこでまた 小平次は執拗に

「おちかをくれろ」と言いだし

 

再び頭に来た太久郎は 今度こそ殺してやると

三味線のバチで殴りつけ 今度こそ殺した

 

太久郎とおちかは 早々に旅支度をすると

江戸を逃げ出すが

太久郎はどこへ逃げても 小平次の霊から逃れられない

 

誰かいる・・

誰かが覗いてる・・

誰もいない部屋で 誰かがカラ咳をした・・

 

 

怯える太久郎の傍らで 酔っ払う おちか

 

 

弱虫、びくびくするな、太鼓叩きの人殺し!

 

なんだい小平次なんか!

小平次 コが付くコジキの子

すちゃらか、ちゃん、ちゃん、すちゃらかちゃん♪

 

このシーンの 宮下順子さんがいいの!

 

やがて谷あいの 賽の河原に出た夫婦

 

小平次が ついて来る・・と

いつまでも うじうじと 怖がる太久郎に

愛想をつかす おちか

 

太久郎は いっそ、心中しようと

おちかを殺しにかかるが

 

ここで止めに入ったのが 死にぞこないの小平次

 

いったい 生きているのか、幽霊なのか・・

どこまで 追いかけて来るのか・・

 

     あじさい

 

宮下順子さんは 

ほとんど 観たことがないのですが

まあ、なんて素晴らしい

 

順子さんあっての 作品と言える

 

太久郎役の 石橋正次さんは 

「夜明けの停車場」の歌が ヒットしました

出だしの部分は 私、今も歌えますよ

 

小平次役の 藤間文彦さんは

父が 日本舞踊・藤間流宗家の藤間勘十郎

母が 女優さんでもある藤間紫さん

 

藤間紫さんは その後、

三代目・市川猿之助さん(スーパー歌舞伎)と再婚されたんですね

 

 

劇中で逆さづり幽霊を演じる 藤間文彦さんの小平次

 

     あじさい

 

この映画は なかなかの傑作だと思うな

 

中川信夫監督も 私は初めてでしたが

こういう作品を撮っていたとは意外でした

 

もっと、

おどろおどろしい映画だと 思い込んでいましたが

映像もたいへん美しくて 

ATGらしい 青春怪談といえる作品だった

 

映画はカラーですが モノクロだともっと怖そう・・

 

 

中川監督 藤間文彦 宮下順子

 

     あじさい

 

1957年に東宝で一度 映画化されているそうです

 

 

小平次 二代目中村扇雀

太久郎 芥川比呂志

おちか 八千草薫

 

 

 

 

おしまい