旅のモモ和尚、ニャン寺に立つ | 猫ポスト

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コーギー、猫との暮らし。昨年はベンガル猫をお迎えし、ダックスと銀次郎を看取りました。

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昼下がりのニャン寺。

境内に、見慣れない影がひとつ。


モモ和尚。

旅装のまま、草鞋を脱ぎ、静かに一礼する。

「……失礼いたします」



返事はない。


本堂の入口。


テツオ、腕組み。

直立。

無言。


風が吹く。



モモ和尚、少し首をかしげる。

「……留守、でしょうか」


テツオ、

半歩だけ前に出る。


無言。


モモ和尚、気づく。

(あ、いる)


再度、丁寧に合掌。

「旅の僧、モモと申します。一夜、軒をお借りできればと――」


テツオ、腕組みを組み直す。

無言。


沈黙。


濃い。


モモ和尚、内心。

(……これは言葉を試されている……?)


ゆっくり、言葉を削る。

「……では」


間。


「……静かに、休みます」


テツオ、

一瞬だけ目を閉じ――


うなずく。


無言。

モモ和尚、なぜか汗をかく。


その様子を見ていたジャンジャン和尚。奥から顔を出す。



「モモさん!!

 すみませんそれ

 喋らない用心棒です!!」


モモ和尚、即理解。

「ああ……なるほど……」


テツオ、満足げ。


ジャンジャン、小声。

「三日目くらいで、心が折れます」


モモ和尚、微笑む。

「……いえ」


静かに座る。

「この沈黙、長旅より、修行になりますね」


テツオ、初めて少しだけ口角が上がる。

……無言。


言葉を持たぬ者と、

言葉を選ぶ者。

ニャン寺に、また一段深い沈黙が積まれた。


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