ミスドのチョコファッション朝の光と静かな読書時間

 

ノーベル賞作家、

ハン・ガンのインタビューを

ぼんやり眺めていたら

 

 

彼女が

日本の読者へのおすすめの一冊として

あげていたのが

『すべての、白いものたちの』

でした。

 

それならば、と

病院帰りの小さなご褒美に一冊。

 

 

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朝の光が斜めに差し込む

ミスタードーナッツの片隅で、

 

揚げたてのチョコファッションを片手に

いつもの席に腰を下ろします。

 

 

 

  『すべての、白いものたちの』とは?写真集のように美しい一冊の本

 

彼女の代表作

『菜食主義者』を読んだあと

 

 

 

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次に何を手に取ろうかと

迷っていたところでした。

 

ならば、作者の言葉に従ってみよう。

そうして開いたのがこの一冊。

 

 

『すべての、白いものたちの』

 

原題「흰(ヒン)」

 

ソウルを拠点に活動する

映画監督Douglas Seokの

モノクロ写真が添えられ

 

写真集のように美しい一冊。

 

「ドア」「おくるみ」「産着」「米」「塩」

 

暮らしのすぐそばにある

“白いもの”をテーマに

65の短い断章が並びます。

 

 

 

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詩のようでもあり


誰かの記憶の引き出しを

そっと開けてしまったようでもある。

 

けれど、

正直に言いましょう。

 

最初の数章を読んだとき

想像力がさほど豊かでない私は、


「なんじゃこりゃ。

 ポエマーな独りよがりの世界?

 …失敗したかな」

 

と思いました😅


 


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チョコファッションの

 

 

あの一番おいしい

チョコがたっぷりかかった

カリッとした角をかじりながら、

 

そんな不遜な感想を抱いたのです。

 


軽くてPCが入って整理しやすい❤️

映画やドラマでも使われたバッグ


 

 

  心をつかまれた「万年雪」という物語

 

ところが、その想いは


「万年雪」という章で

ガラッとひっくり返されます。

 

清廉に生きようとした男が、

汚職に染まらなかったために

リンチを受けて罠にはめられ、

すべてを失う。

 

 

ボロボロになった彼が

 

極限の孤独の中で

思いを馳せたのは、

 

ヒマラヤ登山で遭難した父が眠る、

氷の世界でした。

 

騒がしく、

暴力や裏切りに満ちた現実ではなく、

冷たくとも絶対的に静かな場所へ。

 

氷の沈黙に救いを見出す彼の姿は、

あまりにも高潔で、痛々しいほど。

 

それは、

社会のルールに馴染めず、

暴力や「人間であること」を拒んで


植物になろうとした

 

 

『菜食主義者』の主人公とも、

深いところで

響き合っているように感じました。

 

  「白」に込められた意味|喪失と再生の物語

 

最後まで読み終え、

巻末の「作者の言葉」にたどり着いたとき、

 

この本の温度が

ようやく手のひらに伝わってきました。

 

そこで、個人的には

 

最初に「作者の言葉」から

この本を読むほうが

しっかり世界観に浸れると思います。

 

韓国語では、

白い色を表す

二つの言葉があるとか。

 

タイトルの「흰(ヒン:白)」

 

 

綿あめのような清潔な白ではなく


生と死の寂しさをこもごも湛えた色

 

執筆当時、作者のハン・ガンは、

ポーランドのワルシャワに

娘さんと滞在していました。

 

第二次世界大戦で


街の95%以上が破壊

された都市。

 

ワルシャワの博物館で

 

当時の街の様子を

空から写した映像を見ると


雪景色のようだったといいます。

 

崩壊された瓦礫が、

雪のように見えるほどの


 

いま

破壊された

中東やウクライナの街の様子を

報道で見ると

 

戦争のルールや

技術が大きくかわっていても


私たちは歴史から学べず

同じことを

繰り返してしまっているのかなと

 

心が痛みます。


ハン・ガンは、


今いるワルシャワが

根気よく

人によって再建された街なのだ


と知り、


生まれてわずか2時間で亡くなった

姉を想いました。

 

白い産着が、

そのまま死装束となってしまった、

名もなき姉のことを。

 

「自分の体と生を、姉に貸し与える」

 

そうして書かれたこの本は

 

姉の目で世界を見つめ直す、

静かな再生の儀式だったのです。

 

  人は二度死ぬー記憶の中で生き続ける存在

 

この「白」という

言葉の奥行きに触れたとき、

 

ふと、ある言葉を思い出しました。

 

長年連れ添った内縁の夫を亡くした


編集者の中瀬ゆかりさんが語った、

 

「亡くなった人は死なない。

自分と合体して、

自分の中で生き続けるのだ」

 

といった内容の言葉。

 

たしかに

ふとしたとき考え方、

 

思わず漏れる口癖、

笑いのツボや

なぜか好んでしまう味。

 

チョコファッションを好むこの感覚にも、

 

 

自分のそのどこかに、

 

亡くなった祖母や

父のかけらを見ることがあります。

 

祖母が亡くなったとき、

母もまた、私に言いました。

 

「人は二度死ぬのよ。

 一度目は、肉体が滅びたとき。


 二度目は、

 誰からも語られなくなったとき」

 

だから

これからもおばあちゃんの話を

たくさんしましょうね、と。

 

  ハン・ガン すべての、白いものたちの喪失の悲しみを静かに支える一冊

 

店員さんが静かに

おかわりのカフェオレを注いでくれます。

 

 

本を閉じるころには


最初は冷たく感じた「白」が、

やわらかく心に寄り添っていました。

 

失ったものを嘆くだけでなく


自分の中に向かい入れて

ともに生きていく。

 

 

そんな静かな強さを

この本はそっと手渡してくれます。

 

店を出ると、

冬の終わりの白い雲が

ゆっくり流れていました。

 

皆さんも、大切な誰かを思い出しながら

この静かな物語を手にとってみませんか。




きっと心のどこかが、

静かに、澄んでいきます。

 

最後までお読みいただき

とってもありがとうございました🙏

 

《いまここ》でした❤️

 

もぜひ遊びに来てください☺️

 

※すべて2026年3月19日執筆時の情報です。