ウッドハウスはさておき、バイヤットには実際に会って話をしたことがあります。ほんの少しですけど。たしかブリティッシュ・カウンシルの招きで講演会か何かのために来日したんですね、僕は当時フルタイムで洋書を売る仕事をしていて、ブリティッシュ・カウンシルともそこそこのお付き合いがありましたから、その縁で招かれた記憶があります。本を持って行って即売会やったんじゃなかったかな、細かいことは忘れました。彼女は僕の母親くらいの年恰好で、そのときは怖いオバさん(ホントに申し訳ない)くらいにしか思わなかったのですが、そのあと、この「7月の幽霊」について、彼女が実際にお子さんを事故で亡くされたこと、この短編はそのことと深く関わりがあることを知り、「藝術的昇華」ということを思い知らされました。今日また読んでみて、もし自分で訳すならここはこうしようとか、新たにいろいろ発見もありましたけど、登場人物の台詞一つ一つに重い言霊が籠っているというか、ああいう文章はなかなか書けません。例を引きたいところですが、あの文脈から一部だけ取り出したところで意味を成しませんからやめておきます。
ウッドハウスのことはまた別の機会に。
