時々、介護の話を書いていますが、こちらのほうも楽しみにして下さっている方が多いようで、ありがたいな、と思います。

先日、いただいたメッセージにはこのように書かれていました。

「介護のお話は、私にとっては他人事ではなく、必ず訪れる自分の未来についてとても考えさせられます。だから、いつもじっくりと読ませて頂いています」

他にも、「将来に対する心構えをしておかなければ、と参考にしています」というメッセージもいただきました。

そのように読んで下さっている方に、ひとつだけ、これは若いうちに準備しておいたほうがいいですよ、と提案したいことがあります。

それは「孤独に慣れておく」ということです。

孤独でも平気で過ごせる自分にしていなければ、高齢者になって、そこでつらい思いをします。

ヘルパーで訪問するお宅は独居の人が多く、そういう方々は、体は不自由だけれど認知症はありません。

Мさんは70代の女性です。

若い頃はお友だちがたくさんいて、お友だちと旅行に出かけたり、食事に行ったり、飲みに行ったり、家を行き来したりして、人生をワイワイと賑やかに過ごしてきた人です。

しかし、病気をして体を悪くし、外出が出来なくなりました。

お友だちも同じような年齢ですから、同じように体が悪くなり、Мさんの家まで遊びに来られなくなってしまいました。

まだ元気なお友だちが1人だけ、月に1回は来てくれるものの、長居はせずに帰ってしまうそうです。

週に1回、弟さんが安否確認のため、顔をのぞきに来ています。

 

しかし、弟さんもそんなに長時間いるわけではなく、少し話をしたら帰っていくと言っていました。

私が訪問するとМさんが必ず言う言葉が、「昨日も、おとといも、誰ともしゃべってへん・・・」です。

毎日毎日寂しくて、朝起きたらもうすでに寂しくて、時々テレビと一緒に歌を歌ったりするけれど(歌謡番組で)、寂しい気持ちはまぎれないそうです。

何にもすることがなく、気分が落ち込んでいるため食欲もない、楽しいことが全然ない、だからなかなか時間がたたない・・・本当につらい・・・と言っていました。

あとどれくらいこんな時間を過ごすんやろな、と悲しそうにポツリと言っていました。

Nさんは80代の男性です。

私が伺うサービスの時間は、16時半~17時半なのですが、サービス中は大袈裟ではなく1時間しゃべりっ放しです。

その間、よく笑うし楽しそうなのですが、サービスが終わる少し前になると、Nさんは急に元気がなくなります。

しょんぼりして、「あー、また夜がくる・・・」と言うのです。

夜は昼に比べて、孤独が身にしみるそうで、夜がくると何とも言えない、嫌~な、暗い気持ちになると言っていました。

この方も、元気に外出できていた頃は、カルチャー教室に通ったり、ゲートボールクラブや民謡クラブにも所属していたりして、たくさんのお友だちとワイワイ楽しく過ごしてきた人です。

病気で外に出られなくなり、そうなるとお友だちも来てくれなくなって、現在訪れるのは息子さんだけです。

その息子さんも、仕事の都合で2~3ヶ月に一度の割合でしか会いに来てくれず、寂しくて仕方ない、と言っていました。

テレビも全然面白くないし、目が疲れるから本は読めないし、何にもすることがない、と言うのです。

Nさんにとって夜はとても長く、夜中にトイレに起きてしまうとそこからしばらく眠れなくなり、ホンマにつらいんや・・・と泣きそうな顔で言っていました。

そして「ワシ、いつまで生きんのやろな・・・」と言ったりもします。

孤独が寂しくて、悲しくつらい、となると、生きているのがつらい、という発想になってしまうのです。

こんなんで生きてても何も楽しくない、とも言います。

私がいる1時間は楽しく過ごしてもらうサポートをしますが、残りの23時間、それと私が訪問しない日は自分で何とかしてもらわなければなりません。

いろんな提案をしていますが、どれも「そんなん、1人でやっても楽しないやろ」と否定的で、〝1人〟という時点ですべてが虚しい、とそこから抜けられないようです。

高齢者がみんな孤独に弱いのかというとそうではなく、若いうちに孤独を克服している人は、1人でもそれなりに楽しんで暮らしています。

80代の女性Oさんは、テレビはあまり好きではありませんが、それでも興味が持てるいくつかの番組を見つけて積極的に楽しんで見ています。

朝の連続テレビ小説がそのひとつで、私が行くたびにそれまでのあらすじを詳細に語ってくれます。

主人公が作った料理に元彼女が意地悪で塩を入れたという内容だった日などは、本気で怒っていました。

 

「あれはアカンやろー! あんな人間になったらアカン! な? そう思わへん?」と真剣に言うので、「え? それって現実にあった話?」と勘違いしそうになりました。

たまに高価だけど大好きなイクラを食べたり、時々アツアツのたこ焼きを買って来てもらって食べたりと、そういうことをとても楽しみにしています。

ヘルパーが来ると1時間しゃべりっ放しはNさんと同じですが、サービスが終わる時間になると「あー、楽しかった。また来てね」と次を楽しみにして、ヘルパーが帰ったあとの私は孤独だ、などと考えたりしません。

Oさんは早くから1人暮らしをしていて、孤独に慣れており、1人でも楽しんで生きることを学んでいるからだと思います。

以前にそうめん1輪でも無駄にしないGさんについて書きましたが、Gさんも孤独に強い方です。

Gさんは地方紙を取っていて、これを毎日拡大鏡で読んでいます。

さらに自分が気になる記事は切り抜いてスクラップにしています。

その作業を見ていると、実に楽しそうで、1日の大半はそれでつぶれているのではないかと思います。

スクラップノートもちゃんとジャンル別にしていて、2階には膨大な量のノートがあります。

先日伺った時は、大正~昭和初期の写真が載った本を懐かしそうに見ていました。

Gさんも早くから1人で暮らしていて、若い頃から旅行なども普通に1人で行っていたそうです。

孤独に弱くないのです。

今は若くて体も動いて、お友だちがたくさんいるという方も、

 

家族に囲まれてワイワイ賑やかだという方も、

 

遠い将来に備えて孤独だけは、早いうちに克服しておいたほうがいいです。

高齢者になってから、ただでさえ体がしんどいのに、そのうえさらに孤独も我慢する、孤独に慣れるというのは結構ハードです。

1人でいても別に悲しくない、楽しく過ごそうと思えば過ごせる、そういう強さは若いうちに学んでおいた方がいいですよ、というのは、介護の現状を見ている私からのアドバイスです。ニコニコ