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さて、日本はWBC1次ラウンドを他国に先駆けて突破し、順調に決勝ラウンド進出を決めました。
しかし昨日のチェコ戦は、8回までまったく点が取れないというまさかの展開。野球は本当に何が起こるかわからないものです。
その“何が起こるかわからない”を体現したのが、本日のアメリカ対イタリア戦。大本命のアメリカがまさかの敗戦という大波乱で、アメリカの1次突破に暗雲が立ち込めています。
ここからどう転ぶのか、ますます目が離せません。
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吸血鬼ホラーの皮をかぶった
ブルースと自由の物語
映画「罪人たち」(Sinners)


2025年/アメリカ/138分
<監督>
ライアン・クーグラー
<キャスト>
マイケル・B・ジョーダン(一人二役)、
ヘイリー・スタインフェルド、
ジャック・オコンネル、
デルロイ・リンドー、バディ・ガイ
アカデミー賞主要16部門ノミネート(作品賞、主演男優賞ほか)
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ブロ友さんの記事を見て、タイミングよくネット配信されていたので
「これは観るしかない!」
と鑑賞しました。
一部の映画館では凱旋上映もされているようです。
最初は
「ヴァンパイアホラーかな?」
と思ったら、いやいや、それだけで片づけられる作品ではありませんでした。
ホラー、ブルース、歴史、自由、信仰──まさに全部のせ・全部入りのサバイバルスリラーです。
*まだ未見の方は、ネタバレが少々ありますのでご注意ください
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<内容:欲望と狂乱の夜>
舞台は1930年代、
信仰深い人々が暮らすアメリカ南部の田舎町ミシシッピ州クラークスデイル。

双子の兄弟スモークとスタックは、かつての故郷であるこの地で一獲千金を狙い、当時禁止されていた酒や音楽を振る舞うダンスホールを開店する。
オープン初日の夜、欲望が渦巻く宴に多くの客が熱狂するが、招かれざる者たちの出現により事態は一変。
ダンスホールは理不尽な絶望に飲み込まれ、人知を超えた者たちの狂乱の夜が幕を開ける。

マイケル・B・ジョーダンが一人二役で演じる双子は、単なる悪党ではなく、欲望と生への執着が生々しいキャラクターとして描かれます。
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■ 単なるヴァンパイア映画じゃない
途中まではギャング物のような展開。
「どこでホラーになるんだろう?」
と思っていたら…急展開。
吸血鬼が現れ、ダンスホールは戦場に早変わり。
しかし重要なのはここからです。
この映画は単なるホラーではなく、人生と自由の物語。
- ブルースを歌い踊る人々
- 信仰と罪の間で揺れる町の人々
- 白人至上主義者やKKKの存在
吸血鬼はフィクションの存在です。
しかし、白人至上主義やKKKは現実に存在してきた歴史です。
牙をむく怪物よりも、
差別を当然のものとしてきた社会のほうが、
この作品では静かに、しかし確実に恐ろしく描かれているように感じました。
■ 音楽と歴史が生きる
舞台はブルース発祥の地、クラークスデイル。
サム・クックやジョン・リー・フッカーのゆかりの地でもあり、音楽は単なる背景ではなくキャラクターの魂そのものです。
特に老年期サミーを演じるのはブルース界の伝説、バディ・ガイ!
画面に立つだけで、歴史の重みと深みがスクリーンに流れ込みます。知っている人にとっては彼の登場はおぉ~だったはずです。
ブルースは「罪」ではないけれど、抑圧された時代には不良の象徴でもありました。
昔日本でも、エレキギターを弾いている人は不良のレッテルが貼られて時代もあったとか。とエレキの神様、寺内タケシさんがおっしゃっていました。
酒場でのブルースと吸血鬼の襲来の対比が、単なるホラーを超えた寓話を生んでいます。
■ ブルースの霊性と“神と悪魔”の対比
ブルースは単なる娯楽音楽ではなく、アフリカの土着音楽にルーツを持つ
“霊的な表現”
でもあります。
アフリカの音楽には呪術的・トランス的な要素があり、そこからブルースとゴスペルが枝分かれしていきました。
教会で歌われるゴスペルは
“神の音楽”
一方でブルースは
“悪魔の音楽”
と呼ばれた時代もあり、
神と悪魔、
救いと欲望、
秩序と自由
といった対比が、常に存在していました。

劇中でも、サミーが奏でるブルースの中に、
まるで霊的な存在が呼び起こされるような瞬間がでてきます。

これはホラー演出というより、
ブルースが持つ“魂を揺さぶる力”そのものを映像化したように感じました。
■ ホラーとブルースだけじゃない個人的に“にやりポイント”
吸血鬼リーダー、レミックが踊っていたのはなんと…アイリッシュダンス!
リバーダンスで有名なあのステップです。
「え、吸血鬼がアイリッシュステップ!?」
大好きなリバーダンスの舞台を何度も観ているほくととしては、まさに、にやりポイントでした(笑)。

ホラーと文化の妙な対比が生まれます。
背景には、アイルランド系移民もかつてアメリカ南部で小作人として差別されていた歴史があります。

土地を持てず、文化を守るしかなかった彼らのケルト民謡が、黒人のブルースやゴスペルと融合し、ロックンロールの原型となった…なるほど、歴史と文化の皮肉も忍ばせているわけです。
■ 怪物よりも恐ろしいもの
1200年以上生きる吸血鬼レミックも恐ろしいですが、
真の悪はホグウッド──白人至上主義者でKKKのリーダー。
歴史という名の怪物が、吸血鬼よりも深い恐怖を生み出します。その人物たちも、今作の中では……それぞれに“相応の結末”を迎えることになります。
■ ラストの言葉に刺さる
惨劇の夜から60年。
前述でもお伝えしましたが、ブルースクラブでギターを奏でる老サミーを演じるのは、ブルース界の生ける伝説バディ・ガイ。
ブルースを知る人なら、その登場に思わず胸が熱くなるはずです。
そして
一人バーで静かに酒を飲む老サミー。
そこへ、ひと組の若い男女が店を訪れます。
サミーと静かに言葉を交わす二人。
その空気には、どこか懐かしさが漂っていました。

サミーは、かつて自らが選んだ“生き方”を思い返すように語ります。
「週に一度は起きても体が動かない。あの夜の恐怖でね。」
続けます。
「でも太陽が暮れるまでのあの一日が、人生で最良の日だったと思う。あんたはどうだい」
男は少し考えてから答えます。
「もちろん同じさ。兄貴がいたからな。
あの日、数時間だけ俺たちは自由だった」

二人の言葉に、サミーは静かに微笑みます。
そしてカップルを見送るその遠くを見つめるような眼差しが、また胸に刺さるのです。
このラストの余韻こそ、映画を観た最大の収穫でした。
■ほくと的総評
まさに“ブルースで始まり、ブルースで終わる”映画。
音楽、自由、歴史、信仰…複数のテーマが重なり合います。
- 老ブルースマンの存在が作品に深みを与える
- にやりポイント満載、文化とユーモアの仕掛けも効いている
万人向けではありませんが、深く味わいたい人には一級品。

ブルースと吸血鬼、そして自由の物語。
観て損はありません。

この映画は、色々な具材が入ったおでんのような作品。
私はおでんの中でも「ちくわぶ」が一番好きなので、どうしてもおでんは“ちくわぶで始まり、ちくわぶで締める”感覚になります(笑)。
それと同じように、この映画も
“ブルースで始まり、ブルースで終わる”。
けっこうおもしろい……いや、「おでん」でたとえているだけに、うまみのある味わい深い作品でした。
(おあとがよろしいようで(笑))
アカデミー賞の主要16部門にノミネートされているのも納得です。さて、受賞結果はどうなるでしょうか。
評価:5点満点中 4.0
(画像すべてお借りしました)








