最前線で守るべきは、
この国か、目の前の命か
映画「フロントライン」

2025年 日本 129分
<監督>
関根光
<配給>
ワーナー・ブラザース映画
<キャスト>
小栗旬、
松坂桃李、
窪塚洋介、
池松壮亮、
森七菜、
滝藤賢一
<内容>
日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」での実話を基に、未知のウイルスに最前線で立ち向かった医師や看護師たちの闘いをオリジナル脚本で描いたドラマ。
2020年2月3日、乗客乗員3711名を乗せた豪華客船が横浜港に入港した。香港で下船した乗客1名に新型コロナウイルスの感染が確認されており、船内では100人以上が症状を訴えていた。
日本には大規模なウイルス対応を専門とする機関がなく、災害医療専門の医療ボランティア的組織「DMAT」が急きょ出動することに。
彼らは治療法不明のウイルスを相手に自らの命を危険にさらしながらも、乗客全員を下船させるまであきらめずに闘い続ける。

対策本部で指揮をとるDMAT指揮官・結城英晴を小栗旬、厚生労働省の役人・立松信貴を松坂桃李、現場で対応にあたるDMAT隊員・真田春人を池松壮亮、医師・仙道行義を窪塚洋介が演じ、森七菜、桜井ユキ、美村里江、吹越満、光石研、滝藤賢一が共演。
「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」の増本淳プロデューサーが企画・脚本・プロデュースを手がけ、「生きてるだけで、愛。」の関根光才が監督を務めた。
(映画.com)
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2020年春、日本中が「未知の恐怖」に包まれていたあの時──閉ざされた船の中には、命を懸けて闘う人たちがいた。
6月20日仕事帰りに、TOHOシネマズ上大岡にて鑑賞。観たい映画が結構詰まってきていたために、珍しく仕事帰りに鑑賞です。
当日は帰宅が随分遅くなりましたが、観た価値ありの作品でしたね。
そして、あの「御上先生」(※過去に観たTBSドラマの役名)が文科省から厚生労働省に異動したのかと錯覚してしまうほど、松坂桃李が演じる立松信貴の所作や語り口が似ていて、思わず笑ってしまったのは私だけでしょうか。
さて今作品はまだ上映中ですので、できるだくけネタバレなしでレヴューしてみましょう。
あの時あの船の“内側”を、私たちは知らなかった。
物語の舞台は2020年春、横浜港に停泊した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」。
ニュースで連日報道されていたあの出来事を、医療ボランティア組織「DMAT」の視点から描いた作品。
混乱の中で見えた「善意」のかたち。
日本にはウィルス対策としての組織がなく、全てが未知の経験。その中で医療ボランティア組織「DMAT」に声がかかったのでした。
この映画、派手な演出とか感動の押し売りは一切なし。
むしろ淡々と、でも丁寧に、あのときの“現場”を描いています。
「正解がない中で、それでも前に進もうとする人たち」
の姿に、2時間があっという間。
「誰かのために動く」
という、シンプルで力強い行動が心に刺さります。
閉ざされた船と、開かれた覚悟。
横浜港に静かに停泊する豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」。

夢と希望を乗せたはずのクルーズの旅は、一転して未曾有の感染危機へと変貌します。
乗客乗員3711人のうち、次々と新型ウイルスへの感染が判明し、船は“海に浮かぶ隔離施設”と化してしまいます。
日本初の大規模な集団感染の発生——その渦中で、人々は極限の判断と行動を迫られます。
政府の要請を受け、災害派遣医療チーム「DMAT」が船内対応に乗り出すことに。
政府の要請を受け、災害派遣医療チーム「DMAT」が現場に派遣されることに。
●指揮を執るのは、湘南市民病院の救急医・結城英晴(小栗旬)。現場を束ね、命を救う使命にその身を捧げます。
●厚労省の官僚・立松(松坂桃李)、理想と現実のはざまで苦悩しながらも、最善の判断を模索していきます。
●現場の医師・真田(池松壮亮)、医師としての理想と現場の混乱との狭間で葛藤を抱えます。
●現場主義のベテラン医師・仙道(窪塚洋介)、長年の経験に裏打ちされた強い信念と、時にぶつかり合う現場の若者たちとの対話を通じ、医療の本質を問い直していきます。
それぞれの立場で“命を守る”ために奔走します。一方、船内では
●若きクルー羽鳥(森七菜)
が、外国人乗客と日本人医師の橋渡し役として奮闘。感染の恐怖と混乱の中で、彼女の存在が人々の心を支えていきます。
未知の感染症、逼迫する医療体制、錯綜する判断と命の重み——
それぞれの立場で“命を守る”という共通の使命を背負った彼らの姿は、単なる医療ドラマにとどまらず、私たちが「人間としてどうあるべきか」を問いかけてきます。
「ばい菌」と呼ばれた人たちの苦悩。
この映画が描いているのは、医療の現場だけではありません。
医療従事者たちが社会から受けた“差別”や“偏見”も、しっかりと描かれています。
たとえば、DMATの隊員の子どもが保育園から登園を拒否されたり、
「病院で働いてるって、ばい菌じゃん」
と言われたり。
実際に、小栗旬さん演じる結城のモデルとなった阿南英明医師も、そうした差別に直面した医療者たちの声を聞き、胸を痛めたと語っています。
「一般の人は心配してもらえる。でも、医療従事者のことは誰が心配してくれるのか」
劇中のこのセリフが、心に突き刺さりました。
当時としては、なかなか船内で起きていたことは表に出てこなかった。
そしてある意味偏ったマスコミからの報道で知るしかなかった我々部外者。この物語もそうですが、実際にこの後から世界中で起きるバンデミック下での、医療従事者たちの過酷な労働化の中での出来事。どんなに大変で、危険な中で使命に燃えて仕事を全うしたのか。
しかも心もとない下劣な発言によって、医療従事者やその家族達がどんなにも精神的な苦悩を受けていたのか。
本来なら彼らはヒーロとして扱われても良い人たち。
海外では医療従事者は“ヒーロー”として称えられることもありますが、日本では一部の人たちが、むしろ差別的な発言をしていたのです。
たしかに当時は未知のウィルス感染に対して、世界中の人達が恐怖と戦っていたことはわかりますが、もし自分が感染して病院に運ばれた時にお世話になるのは医療従事者の人達。その事を考えればそのような言葉は決して出してはいけないはずなのに悲しい事です。
少なからず私も医療現場の人たちの声を聞いたことがあっただけに、あのとき聞いた医療現場の声を思い出すと、今でも悔しさとやるせなさがこみ上げてきます。
藤田医科大学の“決断”と“覚悟”
この映画のクライマックスのひとつが、藤田医科大学 岡崎医療センターの登場です。
開院前だったこの病院は、政府の要請を受けて、
何処も受け入れ拒否をしていた感染者128人を受け入れるという決断を下します。
「これで何かあったら、うちが殺したって言われるじゃねえか」
劇中で医師が吐き出すこのセリフが、当時の社会の空気を物語っています。
感染症に対する知識も対策も不十分な中で、それでも“誰かがやらなきゃいけない”と立ち上がった人たちがいた。
その事実に、ただただ頭が下がります。
これは“過去の話”じゃない。いま観るべき理由。
2025年の今、コロナ禍は“過去の出来事”として語られがちです。
でも、あのとき現場で何が起きていたのか、
そして、命を守る人たちがどんな痛みを抱えていたのか、
私たちは本当に知っていたでしょうか?
『フロントライン』は、その「知らなかったこと」に光を当ててくれる作品です。
そして、次に何かが起きたとき、
「自分はどうするか?」を静かに問いかけてきます。
大げさな演出や涙を誘う描写ではなく、淡々と綴られるリアルな“戦いの記録”。
それがかえって心に残ります。
やはりあの時・あの時間に生きていた人たちは観ておくべき作品、そして知っておくべき出来事かと思いました。
この作品はそれを教えてくれます。
そうそうこの作品の配給はワーナー・ブラザースだったのです。
5点満点中4.0
(おまけ)
登場人物日はモデルになった方がいました。
(モデルになった人たち)
▼DMAT指揮官・結城英晴(小栗旬)・・・神奈川県DMAT調整本部長(当時)の阿南英明氏、
▼仙道行義(窪塚洋介)・・・DMAT事務局次長の近藤久禎氏
▼DMAT隊員・真田春人(池松壮亮)真田春人氏・・・浜松医科大学医学部附属病院 救急部 助教 高橋善明氏
▼立松信貴(松坂桃李)・・・・厚生労働省 医政局 保健医療技術調整官(当時)堀岡伸彦浜氏、厚生労働省 医政局 救急・周産期医療等対策室長(当時)永田翔氏
▼羽鳥寛子(森七菜)・・・元ダイヤモンド・プリンセス号フロントデスク・クルーの和田祥子氏
(画像全てお借りしました)


























