静かな革命の物語
映画「ドマーニ!愛のことづて」
2023年 イタリア 118分
<監督>
パオラ・コルテッレージ
<キャスト>
パオラ・コルテッレージ、
バレリオ・マスタンドレア、
ジョルジョ・コランジェリ、
<内容>
戦後ローマでたくましく生きる市井の人々と権利を渇望する女性たちの姿を描き、2023年のイタリア国内興行収入第1位を記録したドラマ。「ジョルダーニ家の人々」などで知られるイタリアのコメディアンで俳優のパオラ・コルテッレージが初メガホンをとり、自ら主演を務めた。

1946年5月。
ローマにある半地下の家で家族と暮らすデリアは、夫イヴァーノの暴力に悩まされながらも意地悪な義父の介護や家事をこなし、さらに複数の仕事を掛け持ちして家計を助けている。
過酷な毎日を送る彼女にとって、市場で青果店を営む友人マリーザや自動車工のニーノと過ごす時間だけが心休まるときだった。

母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは、裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を自宅に招いて昼食会を開くことに。
そんなある日、デリアのもとに1通の謎めいた手紙が届く。
夫イヴァーノ役に「おとなの事情」のバレリオ・マスタンドレア。「イタリア映画祭2024」では「まだ明日がある」のタイトルで上映。
(映画COM)
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本国イタリアで600万人動員の大ヒット!
イタリアの国民的コメディエンヌ“パオラ・コルテッレージ”の
映画監督デビュー作にして歴史に刻まれる傑作の誕生!
4月26日横浜シネマリンにて鑑賞。
本国イタリアで600万人動員、ハリウッド映画『バービー』『オッペンハイマー』を抑え2023年興行収入NO1を打ち出した作品とのことで、何やら触手が動かされ劇場へと足を運んでしまいました。
いやぁ~~思わず拍手をしたくなるような終わり方、
美味しいイタリア料理を食べた時に
「旨街道~~ではなく、ボ~~ノ!」
と叫びたくなるようなそんな感じでした。
とにもかくにも監督の術中にはまり、完全にミスリードさせられてしまいました。
この感動を味わうためには絶対にネタバレ厳禁です。
ラストの衝撃は、今年鑑賞した作品で「教皇選挙」に匹敵するくらいでした。
もう少しネタバレに気を付けてレヴューしてみましょう。
冒頭からの衝撃
この作品は、ネオレアリズモへのリスペクトを感じさせるモノクロ映像と、現代的な演出が融合した独特のスタイルを持っています。
冒頭のシーンでは、主人公デリア(パオラ・コルテッレージ)が目覚めるや否や夫に頬を叩かれるという衝撃的な描写があり、これが彼女の日常であることを観客に強く印象づけています。
デリアは、暴力的な夫イヴァーノ(バレリオ・マスタンドレア)、意地悪な義父、そして三人の子どもたちと暮らしながら、複数の仕事を掛け持ちして家計を支えています。

そんな彼女の唯一の安らぎは、市場で青果店を営む友人マリーザや、自動車工のニーノと過ごす時間でした。
日本の国も酷かった男尊女卑。イタリアでも同じようなことが起きていたのですね。しかもこの作品の中に登場する夫は、超強烈なDV夫だったのです。
1946年ローマ、閉じ込められた日常
前述しましたが、映画はローマのとある古びたアパートメントから始まります。主人公デリアは、夫イヴァーノと三人の子どもたちに囲まれながら、毎日を何とかやり過ごしています。
しかし、その「普通の生活」の裏側には、支配的な家父長制と見えない暴力があり、デリアはそれに抗う術もなく日々を過ごしているのです。
朝食を作りながら夫の機嫌をうかがう。仕事場でもおとなしく振る舞う。
そんな彼女の日常は、決して劇的なものではありません。それが余計に観客の心を締め付けます。
「彼女の人生はこのまま続くのか?」
という問いが、観る者の胸に重くのしかかります。
彼女の娘も時として
「私はお母さんのようなには生きたくない」
と母親に向かって発するほど。
1通の手紙が運命を変える
ある日、デリアのもとに差出人不明の手紙が届きます。
「これは一体?」
と彼女は戸惑いながらも、心のどこかで期待を抱きます。
そして、その手紙を手がかりに、彼女は自分の過去と向き合い始めるのです。
手紙の謎を追うにつれ、デリアは徐々に自分を取り戻していきます。
夫の支配から抜け出したい、けれどどうすればいいのか分からない・・・そんな心の葛藤がスクリーンを通して痛いほど伝わってきます。
絶妙な演出とキャストの熱演
この映画の真骨頂は、シリアスなテーマを扱いながらも軽妙なタッチを忘れない点でした。
特に印象的なのは、夫のDVの場面です。
通常であれば、こうしたシーンは目を背けたくなるほどの生々しさを伴いますが、この映画ではまるでダンスのような動きでクスッと笑ってしまうほど。
「これは暴力なのか、それとも日常の一部なのか?」
と観客に問いかけるような演出。
時としてはユーモアにあふれた映像に変換したところでした。
パオラ・コルテッレージの演技は圧巻。
デリアの表情ひとつひとつが彼女の内なる変化を映し出し、観る者の感情を揺さぶります。
そして、彼女を支える友人マリーザやニーノの存在が、救いの光として描かれるのもまた心に響きます。
ラストシーンの衝撃
ラストまでは、まずまず通常あるようなストーリー展開で、たぶん先が見える感じでそんなにヒットした作品?と疑問も抱きながら鑑賞していたのですが、最後にやられました~~!

家族が寝静まるある日の早朝。
計画していた事を実行する日。
自分で布切れを買い裁縫し新調したドレスに着替え、紅を差し、こぎれいに身支度するデリア。
娘が寝ている枕元にには手紙とお金を置いていく。
そして夫にきづかれないように、そぉ~と家を後にしようとする。
暴力夫から無事逃れることができるかドキドキハラハラする場面・・・・。
そして予想しなかった感動のラスト。
ネタバレはしませんのでぜひご覧くださいね。
衝撃かつこのシンプルながらも力強いラストは、観る者に深い余韻を残すはずです。
ブラボ~~!
一言で言えば「静かな革命」。
大きなアクションや劇的な変化はありません。
でも、デリアの選択は確実に彼女自身と周囲の世界を変えました。
モノクロの映像美と、じんわりと心に響くストーリーが、あなたの心の奥をそっと揺さぶってくれるはずです。
イタリアで大ヒットしたのも納得でした。
5点満点中3.9















