金子デスクは原稿を前から直す伝統的なスタイルだった | マスコミに取材される方法

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新聞社とTV局に21年。PR会社に1年。その経験でプレスリリースの発信とマスコミ登場をサポートします。

名デスクだった金子慶一さんの話の続きです。
私が新聞記者になった当時は、
今のようにパソコンで記事を作成するのではなく、
原稿用紙にボールペンテルで書きました。

当時の記者がどう書くのか。
思い出しますね。

原稿用紙を置いてある場所から、数十枚つかみます。
自席に座り、原稿用紙を立ててトントンと整える。
黒字のボールペンテルのキャップを抜いて
冒頭の右下に「記者名」
次に「仮見出し」を書いて。
その次の行の市場上に「Ω」の記号を書きます。

この「Ω」記号は「1字下げる」という意味です。

そこから私のような新人記者は
「さて、どう書こうか?」と悩むのです。

これは頭の中で記事が出来上がっていない証拠。
先輩たちはスラスラとペンを走らせます。

ウンウン唸って書き上げた原稿は、
30行程度でも3枚以上になります。
間違った箇所を消して、次の原稿用紙につなげると、
新人の私は5、6枚になることもありました。

それを受け取った金子デスクはページをめくりません。
頭から赤ペンを入れていきます。
新聞記事はスタイルが決まっています。
デスクの頭の中では原稿が出来上がっているからです。

それはもう神業のような速さで直していました。

私の原稿が不甲斐ない時、金子さんの顔も曇ります。

「おい、荒川。このタコ。直したぞ。確認しろ」

怒られる時は決まって「タコ」と言われました。
渡された原稿用紙には私の書いた箇所が数行しかありません。
ほとんど、金子さんが入れた赤ペンの文字で埋まっていました。

情けない、恥ずかしい。

新人記者はみな、必死になって記事スタイルを覚え、何とか書けるようになっていくのです。



記者の頭の中に記事が出来上がっているのは大事です。
事件事故の現場から急に原稿を送る場合、これが役に立ちます。

「勧進帳(かんじんちょう)」です。

記者が電話で原稿を送るのを「勧進帳」と呼びます。
当時は携帯電話もない時代。
必死に公衆電話を探してデスクに電話しました。
こんな感じです。

記者 「今から原稿を送ります」
デスク「いいぞ」
記者 「31日午前11時50分ごろテン△市▲町〇の国道でテン・・・」

緊急時はこうしなければ締め切りに間に合わないのです。


金子さんは古き良き時代のデスクの象徴でした。

きょうで一応、区切りにします。
また、適当なテーマで金子デスクに再登場してもらいます。