お城や陣屋を構成する「城郭建造物」の中に建つ「蔵」(全国「城郭内の蔵」を巡るシリーズ)を採り上げてお届けしていきます。
お城(陣屋や代官所含む)には、「天守」「櫓」「御殿(能舞台や茶室等含む)」「門」「番所」の他に、戦闘に使用する武器類、生活を維持していく為のお金等の財産、命を繋ぐ米などの食物類、その他生活に必要な物品等々を保管しておく「蔵」や「納屋」が必ず設けられていました。
元々は、そのようなモノを保管しておく「蔵・納屋」が独自に築かれていましたが、江戸時代に入り平和な時代になってくると、戦闘用や監視用として築かれていた「櫓」がその目的から外され、蔵的な利用に切り替えられるお城が多くなりました。(鉄砲櫓、槍櫓、弓櫓、米櫓、塩櫓、麦櫓、干飯櫓、荒和布櫓など)
しかし今回は、そのような蔵的利用された「櫓」は割愛して、元々から「蔵・納屋」として築かれ名称も「〇〇蔵、○○庫、○○倉庫」と称する建造物を集めました。
このシリーズでは、現存、復元、復興、模擬のモノを紹介していきますが、「蔵」は殆どが現存のモノが多いです。
今回は、「五稜郭」(北海道函館市五稜郭町)の「城郭内の蔵」をお届けします。「日本100名城」の選定されています。
箱館には、1854年の日米和親条約の締結に基づく箱館開港に伴い、箱館奉行所を置きます。その後、増強の必要性が起こり老中「阿部正弘」等の幕閣によって「五稜郭」の建設が決定し、「武田斐三郎」が設計を行い、1864年には竣工して奉行所を五稜郭内に移転して業務を開始し1866年に全ての工事が完成しました。
しかし1867年に大政奉還が行われ、1868年4月に新政府によって「箱館府」が置かれ、引続き政庁として使用されます。
その後、1868年10月に「榎本武揚」が率いる旧幕府軍が蝦夷地に上陸すると、箱館府の「清水谷知事」は逃走したので旧幕府軍が「五稜郭」を占領しました。しかし、新政府軍の侵攻で「松前藩」の「松前城」は新政府軍の拠点となったことで、「五稜郭」内の「箱館奉行所」も新政府軍が駐屯し「箱館府」を置きました。
新政府軍方に付いた「松前城」攻めを、「土方」軍が砲撃を繰り返しながら搦手門から入り落城させ、更に1869年10月には「五稜郭」へ「大鳥圭介」と「土方歳三」率いる旧幕府軍の箱館進撃によって、新政府軍は「五稜郭」を放棄して旧幕府軍は「無血入城」を果たします。そして「無血入城」を果たした旧幕府軍は、「榎本武揚」を総裁とする「蝦夷共和国」を立国します。
しかしながらその後、新政府軍が本土から4~5隻の軍艦に大軍を乗せて次々と上陸させて、旧幕府軍の防衛線を突破して、ついに1869年5月に新政府軍は降伏を勧告したことから、「榎本武揚」はそれを呑み、「五稜郭」を明け渡しました。
「五稜郭」の立地と縄張りは、「佐久間象山」の下で西洋兵学や砲学を学んでいて大洲藩の蘭学者「武田斐三郎」に築城させて、「西洋式稜堡」の城情報を採りいれ、砲撃戦に備えた縄張りを導入しました。
それは、五角形(星形)にすることで、側面攻撃(横矢を掛ける)ことができるメリットがあり、更には五角形(星形)の窪みの所から三角形の「半月堡」を設けることで、一層の側面攻撃が可能でした。
こういうことで、当初計画では星形の窪みの所の5か所には「半月堡」を設ける予定でしたが、南西側の「大手口」に「半月堡」を築いただけで、財政的に厳しい状況下にあった幕府はその他4か所については未完成のままでした。
しかし「五稜郭」全体を水堀や石垣と土塁によって囲い込むことで、強固の防衛線を築き、1か所しか造らなかった三角形の「半月堡」は、和洋式のお城の「馬出し」にも相当し、空堀と水堀で周囲を取り囲んでいます。
「五稜郭縄張り絵図」(赤丸は、下記説明の「蔵」の位置) ↓
「五稜郭タワー」から見下ろした「五稜郭」 ↓
以上の様な近代西洋式城郭の「五稜郭」内の建造物は取り壊されましたが、2010年に木造で「箱館奉行所」が復元されています。
復元「箱館奉行所」 ↓
その中で、唯一現存の建造物が「兵糧庫」1棟が、解体を免れて建っています。
「切妻屋根」の「桟瓦葺き」で外壁は「白漆喰」、桁側には瓦庇が設けられています。また屋根と下部建屋との間は通風を良くするためのものでしょうか隙間が空いています。
内部は、木造ですので木が剥き出しのまま貼り付けられているのが判ります。そして小屋組みの天井となっています。
唯一現存の「兵糧庫」 ↓
唯一現存の「兵糧庫」 ↓
唯一現存の「兵糧庫」(一番手前) ↓
唯一現存の「兵糧庫」(通風用隙間) ↓
唯一現存の「兵糧庫」の「小屋組み天井」 ↓
唯一現存の「兵糧庫」内部 ↓
唯一現存の「兵糧庫」の内部 ↓
現存「兵糧庫」に続いて建てられた摸擬「蔵」(飲食店等に使用) ↓
敷地内にはもう一棟の蔵が見られ、復元「函館奉行所」の北側に再建された板で貼られた「板蔵」が建ちます。
復興「板蔵」 ↓
復興「板蔵」 ↓
「ポチ」をどうぞよろしくお願いいたします。
「フォロー」の方もどうかよろしくお願いいたします。
もしよろしければこちらにも「ポチ」をお願いいたします。














