Norwegian Wood(This Bird Has Flown)

(Lennon–McCartney)

※「Norwegian Wood」の英語歌詞を掲載したサイトはこちら



I once had a girl
その昔、ある女を引っかけた

or should I say she once had me?
いや、俺がその女に騙されたという感じか?


She showed me her room
彼女は部屋に俺を案内した

“Isn’t it good, Norwegian wood?”
“ねぇ、いい部屋でしょ?ノルウェーの木材でできてるの”



She asked me to stay 
泊まっていけばと彼女は言った

And she told me to sit anywhere
好きなところに座ってと指示するが

So I looked around and I noticed
部屋を見回して気付いた

there wasn’t a chair
椅子が一つもない



I sat on a rug
俺は床の敷物に腰を下ろし

Biding my time, drinking her wine
チャンスを待ちながら、出されたワインを飲んだ

We talked until two and then she said
2時までしゃべると彼女が言った



“It’s time for bed”
"寝る時間だわ" 





 

 

 

She told me she worked in the morning 
彼女は朝から仕事なことを俺に告げると

And started to laugh
けらけらと笑い出した


 

I told her I didn’t
俺は何の用もない、と言ったが

And crawled off to sleep in the bath
結局、のろのろと風呂場へ寝に行った



 

 

 

And when I awoke I was alone
そして目が覚めたら俺はひとり

This bird had flown
小鳥は飛んで行っていた

So I lit a fire
だから俺は火をつけた


“lsn’t it good, Norwegian wood?”
“よく燃えるじゃないか?ノルウェーの木材は”





(日本語訳:東エミ)
photo:アルバム「Rubber Soul」より



 

 

 

 

 

「20世紀で最も影響力のある人物(グループ)」と称され、

音楽はもちろん、存在そのものが社会現象となった

英国ロックバンド、The Beatles(ザ・ビートルズ)。

 

 

1962年1月にデッカレコードのオーディションで不合格となるも、

同年10月にEMI系列のパーロファン・レーベルより

『Love Me Do』(B面は「PS I Love You」)でレコードデビュー。

 

1970年3月に最後のシングル曲『Let It Be』

(B面は「You Know My Name (Look Up The Number)」を発表した

その翌月4月に事実上解散となるわけですが、

メジャーデビューしてからの活動年数は約8年間。

 

「えっ?8年?」

 

と、その年月の短さに思わず驚きのつぶやきをしてしまいたくなるのは、

成し遂げた偉業があまりに多いからでしょう。

 

まさに "Fab Four" です。

(Fabulous Four/素晴らしい4人、と言う意味のザ・ビートルズの愛称)

 

 

 

今回訳詞をした『Norwegian Wood(This Bird Has Flown)』は、

デビューして三年が過ぎた1965年にリリースの

ザ・ビートルズ6作目のアルバム「Rubber Soul」に収録されています。

 

メジャーデビューした時の "アイドルバンド" 的受け身の音楽性から、

これまでの経験で覚えたレコーディング・スタジオ技術を自ら使って、

四人の意思とアイデアで "自分たちの音楽" を作りはじめたのが

このアルバム「Rubber Soul」からであると言われています。

 

『Norwegian Wood』では初の試みとしてインドの民族楽器・

シタールが使用され幻想的な雰囲気を醸し出していると同時に、

明らかにこれまでのポップなサウンドとは異なることを実感します。

 

 

そして、この『Norwegian Wood』の歌詞を読む時、

二つの謎解き が必要でしょう。

 

含みを持たせた歌詞と想像力を掻き立てる響きの良い邦題が、

長きに渡りこの曲を謎めいたものしています。

 

 

 

<謎解き:その1>

"So I lit a fire(だから俺は火をつけた)"

 

歌詞最後の部分に出てくるフレーズです。

一体何に火をつけたのか? 

 

まずはこれが謎解き : その1です。

 

 

・暖炉に火をつけた

・タバコに火をつけた

 

といった解釈や訳され方もされていますが...

 

 

"So she makes him sleep in the bath and then finally in the last verse I had this idea to set the Norwegian wood on fire as revenge, so we did it very tongue in cheek. She led him on, then said, 'You'd better sleep in the bath'."

 

((男の意と反して)彼女は彼を風呂場で寝かせた。だからその腹いせで、ノルウェーの木材でできた彼女の部屋に火をつけるというアイデアが最終的に浮かんだんだ。皮肉をたっぷり込めてね。「お風呂場で寝るといいわよ」と言って、彼女は彼を嘲笑ったからさ)

 

 

"It could have meant I lit a fire to keep myself warm, and wasn't the decor of her house wonderful? But it didn't, it meant I burned the fucking place down as an act of revenge, and then we left it there and went into the instrumental."

 

(火をつけたのは暖をとるためで、暖をとりながら彼女の部屋の内装はいいじゃないか?と呟いたという風に捉えることもできるが、そうじゃない。俺が意味したのは、どうしようもないその場所に復讐するための火をつけた。そして燃えてる部屋をあとに去るのをイメージしてエンディングへと流れていく感じだよ)

 

 

これは、このポール・マッカートニーの言葉です。

 

ジョン・レノンとの共作ですが、

ポールがこの結末を書きました。

 

 

もちろん、この歌詞はフィクションで、

"復讐で部屋に火をつけた" はあくまで架空の話です。

 

とはいえ、この歌はジョン・レノンの恋愛事情が色濃く絡んでいて、

ジョン自身、下記のコメントを残しています。

 

 

“Norwegian Wood is my song completely. It was about an affair I was having. I was very careful and paranoid because I didn't want my wife, Cyn, to know that there really was something going on outside of the household.”

 

(Norwegian Wood は完全に俺の歌。俺の浮気についての歌で、かなり用心深く慎重に書いた。妻のシンシアに家の外で何をやっているか知られたくなかったからね)

 

 

 

 

<謎解き:その2>

"邦題『ノルウェーの森』は誤訳か?"

 

邦題は 「ノルウェーの森」と付けられています。

これはこれで、語感が良く、私は好きです。

 

しかし英題の二つの単語を辞書で調べると

 

 

・Norwegian(形容詞)

ノルウェーの

 

・Wood(名詞) 

材木、木材、薪

ちなみに ”wood” を画像検索すると こんな感じ 

 

 

そうです。つまり ”Norwegian Wood” は直訳すれば下記です。

『ノルウェーの木材』

 

もしも英題が "Norwegian Woods" とWoodが複数形だったら

「ノルウェーの森」は誤訳ではなかったでしょう。その証拠に

 "Woods" を画像検索にかけると こんな感じ です。

 

 

 

“John told Playboy that he hadn't the faintest idea where the title came from but I do. Peter Asher had his room done out in wood, a lot of people were decorating their places in wood. Norwegian wood. It was pine, really cheap pine. But it's not as good a title, Cheap Pine."

 

(ジョンが「Playboy」にタイトルがどっから来たか全く見当がつかないと話したが、俺が思いついたんだ。ピーター・アッシャー(*)は部屋を木材で仕上げていて、たくさんの人が部屋を木材で内装していた。ノルウェーの木材だよ。それって松の木のことで、いわゆる安物。でもタイトルに '安物の松材' としてはかっこよくないだろ)

 

 

とタイトルについてポール・マッカートニーは言及しています。

 

(*ピーター・アッシャーとは当時ポールと交際していた女優のジェーン・アッシャーの兄でレコードプロデューサー&バンド「Peter & Gorden」のメンバーのこと)

 

 

つまり、この歌の "Norwegian Wood" とは

部屋の内装に使われている木材のことで、

想像を掻き立てる神秘的な "ノルウェーの森" はどこにも出てきません。

 

 

 

 

【謎解きの結論】

その1:火をつけたのは "彼女の部屋" だった

その2:「ノルウェーの森」は誤訳である

 

 

 

 

解説が長くなりましたが、

今回ザ・ビートルズの楽曲を訳詞して痛感しました。

 

歌詞の英語自体は中学校で学んだ英語力で読めるかもしれません。

が!ビートルズの世界観は容易には翻訳出来ない。

そうつくづく思いました。

 

ビートルズ楽曲の大半を作詞作曲している

ジョンとポールの性格、生い立ち、生活スタイルおよび

ビートルズそのものをきちんと知った上で訳さないと

全くもって味気ない翻訳になってしまう。

 

世界中にいる "Beatlemania"(ビートルズ・マニア)が発信する

情報量の多さも凄まじく、真相探しにも時間がかかります。

 

改めて、訳詞(翻訳)の難しさを実感した今回でした。

(※本文中の英文翻訳:東エミ)

 

参考資料

・The Beatles Bible

・The Beatles(Wikipedia)

・The Beatles Anthology  、他

 

 

尚、当サイトで訳詞済みのビートルズ及びジョン・レノン楽曲は下記です。

併せてご覧ください。

 

「Help!」

「Yesterday」

「Let It Be」

「Imagine」

 

 

 

 

 

 

 

Rubber Soul Rubber Soul
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THE BEATLES 1962-1966 THE BEATLES 1962-1966
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Norwegian Wood/The Beatles

 

 

 

こちらはレア音源。

 

 

 

 

 

 

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