〈NAGAIproより転載〉
感謝していただく心
忙しい毎日を過ごしながらも、食事の時には心を落ち着けていただきたいものです。
どこの家庭でも「いただきます」「ごちそうさま」を言うことを子どもに教えます。
欧米では食前の祈りをする習慣があります。
禅宗で食事の前後に唱える「食事作法の偈」がいくつかあります。
偈(げ)とは、仏様の功徳をほめ讃える詩のことです。
その中でも親しみやすいと言われている「五観の偈」を以下に抜粋してご紹介します。
《五観の偈》
一つには功の多少を計り彼の来処を量る
(この食事ができるまでにかけられた多くの手間と苦労に思いをめぐらそう)
二つには己が徳行の全欠を恃って供に応ず
(自分はこの尊い食事をいただくに徳する正しい行いをしているだろうか)
三つには心を防ぎ過が離るることは貪等を宗とす
(過ちの元となるむさぼり、怒り、愚かさの三毒をおさえ、正しき心をもっていただ
きます)
四つには正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり
(美味を楽しむためではなく、この身を保つための良き薬としていただきます)
五つには成道の為の故に今この食を受く
(この尊い食事をいただき、自他ともに皆仏道を成すことを願い、ありがたくいただきます)
私たちが日常で食事の際に行う挨拶にもちゃんと意味があります。
◇「いただきます」
食材の命を私の命としていただくことに感謝する氣持ちを表します。
食事を作ってくれた人、食材を作って運んでくれた人、つまり食事に携わってくださった方への感謝も表しています。
◇「御馳走様でした」
この食事が食卓に上がるまでにかかった労を想い、感謝する言葉。
「馳走」は走り回るという意味で、食事を用意するために走り回り、食事を用意していただいたことへ感謝する「御」と「様」がついています。
「御馳走」にもてなすという意味が含まれるようになり、贅沢な料理を指すこともあります。
「いただきます」と「ごちそうさま」には、唱えごとと同じくらいの感謝の意が凝縮されています。
よく噛んで食べることも感謝の意に通ずるところがあるように思います。
噛むほどに感謝の氣持ちが膨らみ、自分の体に取り込まれて調和します。
よく噛むことは消化に良く、食べ過ぎの防止、歯の病氣やがんの予防、脳の発達、リラックス効果などもあるのです。
中国の宋の禅僧によって作られた仏典の中に「麁餐(そさん)は飽き易く、細嚼(さいしゃく)は飢え難し」という一語があります。
噛まずに丸飲みする者は満腹に馴れ、食糧が乏しくなると真っ先に逝ってしまうけれど、
よく噛む者はたやすく飢えない、という意味です。
食べる時に慌てていたり心配事やイライラした感情を抱えていると、よく噛まずに飲み込んだりするものですから、
消化に悪いですし、食べた後も疲れたような良くない感情が残ってしまいます。
忙しい日常の中でも、食事のときに感謝の意を述べて一度リセットしましょう。
ご縁があっていただく生命に感謝して、良薬として食事をいただきましょう。
幸食研究所 ひふみ塾
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