引き続き『生命式』「孵化」と「二人家族」で考えた人間関係

氷河期世代のアラフィフ万年派遣社員、
ハヅキです![]()
村田沙耶香さんの『生命式』、ここ最近で一番面白かった![]()
ので、まだ引っ張ります(笑)
『孵化』私も性格が「ない」のか?
収録作の一つ「孵化」
学校や職場、アルバイト先など、属するコミュニティに合わせて自分の性格や人格をガラリと変化させる女性を描いた短編。
周囲の空気を読んで、その場に求められるキャラクターを次々と演じ分ける姿を通して、本当の自分とは何かという、アイデンティティの空洞化を問いかけてくる。
読みながら思った。
私も、異なるコミュニティでは異なるキャラな気がする。
私も「性格がない」のだろうか。
でもたぶん、これはみんな多かれ少なかれ「あるある」だと思う。
じゃあ、婚約者の前ではどのキャラにするのか。
最後、相手のキャラ設定のくだりが出てくるのだが、これがもう、絶対イヤだ~
と思わず声が出た(笑)
ネタバレになるので書きませんが
「二人家族」こういう約束するけど実行した人は知らない
もう一つ、「二人家族」も印象に残った。
これは「夏の夜の口付け」という別の短編の続編にあたる作品で、性格が正反対の2人が、子どもの頃に交わした口約束を実際に果たす話だ。
お互い30歳になっても結婚していなかったら、一緒に住もう。
こういう約束、誰しも一度くらいはした記憶があると思う。
でも実際に実行したという話は、聞いたことがない。
村田沙耶香さんは、そんな「口約束が現実になったら」という世界を、恋愛でも家族でもない独自の関係性として丁寧に描いていく。
表題の「生命式」の強烈さとはまた違う、静かな温度で心に残る作品だった。

ゆる言語学ラジオで語られていた、この話
以前の記事で紹介した「ゆる言語学ラジオ」の「東京に友だちができない」という回、あれで語られていたのはまさにこの「二人家族」の世界観の話だった。
大人になってからの「友だち」って、本当に難しい。
「友だち」という言葉ひとつ、奥が深い
「友だちが足りているフリ」という大人の規範
あの番組では、大人になるにつれて「新しい友だちを求めている」と周囲に明かすことが、どこか恥ずかしいこととされる空気感について触れられていた。
東京では、誰もが「自分は今の人間関係で満足しています」という顔をして生きているから、余計に新しいつながりが生まれにくくなる。
結果として、都市のドライさが加速するという、皮肉な構造。
これが『生命式』の強烈な世界観と重ね合わせて、ユーモラスかつシニカルに語られていた。
友だちが足りているフリをする大人たちと、口約束を本当に実行してしまった「二人家族」の2人。
どっちが幸せだろう?
小説が事実になったらいいな、とちょっとうらやましく思えた。
京料理のお出汁のように薄~い(でも奥深い?)日常ブログを書いているハヅキ25です
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