わたしの父は
アルコール依存症だった
だからか
わたしは一滴も
お酒を飲まない
飲めないじゃなくて
飲まない
父は飲むと暴れたくなる人だった
父の車が帰宅する
父が2階に上がる
一杯飲んで降りてくる
もうその一杯が
命とり
いつ暴れるかは
運次第
ずっと寝てたかと思うと
いきなり起きてきて
暴言を吐く
それは
早朝でも
夜中でも
お構い無しだった
わたしの不安の
原点はここにある
いつも
全5感をフル装備して
顔色
声色
足音
すべてに敏感でないと
生き残れなかった
だから
大人になっても
些細な
本当に微細な変化で
不安になる
わたしの祖父は
お酒がとっっっっても
強かった
飲んで暴れたり
暴言を吐くのを
見たことはない
いつもウィスキーの水割りを
飲んでいた
でも
糖尿病で目が見えない
足の指も切ってしまっていた
わたしの祖母は
ビールが大好きな
人だった
毎晩、晩酌して
外食しても
いつも飲んでいた
飲むとよく人に絡んだり
暴言を吐いていた
父はきっと
お酒を飲むことで
祖父と祖母に
つながっていたんじゃないか
本当は甘えたくて
本当は構ってほしくて
本当は大切にされたくて
お酒を飲むことが
唯一
自分の親と
つながることだったんじゃないか
そんなことを
ふと感じた
もう大丈夫だよ
今は安全だよ
わたしはわたしと
父にそう
言い聞かせる
今は安全なんだ
あれが
精一杯だったね
