マルタの最終日。朝、ホテルを出てバスは南東の海岸線へと走りました。
まず訪れたのは、マルタでも屈指の景勝地、ブルー・グロット(Blue Grotto)。
断崖絶壁の下に広がる海は、光を受けて深いエメラルドグリーンに輝いています。
海面がまるで鏡のように光を返し、波の動きに合わせて岩肌まで青く染めていく。
その名の通り「青の洞窟」と呼ばれるこの場所は、自然が描き出す光の芸術でした。
次に向かったのは、マルタ南東部のマルサシュロック漁村(Marsaxlokk)。
古くから漁業で栄えたこの村では、港に色とりどりの小舟が並んでいます。
小舟の舳先には、必ずと言っていいほど「目」が描かれています。
これは古代フェニキア時代から伝わる「オシリスの目」と呼ばれる護符で、
「航海の安全」や「悪霊からの守護」を願うものだそうです。
波間に揺れる無数の瞳が、今も静かに海を見守っているようでした。
漁港ににぎやかなマーケットもあります。
漁村の中心には聖母教会があり、その正面上部には船を踏むマリア像が掲げられています。
これは、マリア様が「嵐や危険から人々を救う守護者」であることを象徴しており、
荒れ狂う海や悪しきものを踏み越える力を表しているそうです。
漁師たちにとっては、まさに海の守り神のような存在。
青空を背に立つマリア像が、穏やかな港の光景と重なり、心に残る印象的な一場面でした。
昼食は港近くのレストランで、焼き魚のランチを。
シンプルな塩味に、レモンを絞り、バルサミコ酢を少し。
マルタの海を見ながら味わう最後の食事は格別でした。
午後、バスは空港へ向かい、夕方にはこの旅の最終地、キプロスに到着。
マルタとの時差は1時間。ギブロスの方が少し早く時が流れています。
EU圏内にもかかわらず、入国審査には少し時間がかかりましたが、本来なら見れる夕日は無理でした。
碧い海、信仰の象徴、そして穏やかな陽光。
マルタで過ごした数日間は、きっと心のどこかにずっと残っていく気がします。









