グルコサミンは変形性関節症(OA)の予防や症状改善によく使われています。消炎鎮痛剤などの薬剤に比べ効果が穏やかなものの、極めて安全であることが数多くの臨床試験により証明されています。
しかし、グルコサミンの糖代謝に及ぼす悪影響が一部のin vitroおよび動物実験によって発表されているため、糖尿病患者でグルコサミンを利用する場合には、血糖値をモニタリングする必要性が言われています。
今までもN数が少なかったものの、健常人および2型糖尿病患者に短期間にわたってグルコサミンを投与した結果、血糖値に影響がないことも発表されていました。
昨年、ヨーロッパの研究グループは新たな臨床試験を行われ、グルコサミンの投与は、糖代謝や血圧など心血管リスクに影響を与えないという結果が報告されていました。
(Open Rheumatol J. 2011;5:69-77.)
研究グループは以下2つの実験を組んでいました。
①膝OA患者を対象に、1日1,500㎎のグルコサミン投与群(n=109)、1日3gのアセトアミノフェン(消炎鎮痛薬)投与群(n=109)、とプラセボ投与群(n=107)の3群で、6ヶ月の比較試験を対象に、血圧、脂質代謝、血糖値の変化を調べています。
②膝OA患者を対象に、1日1回、1500㎎のグルコサミン投与群(n=106)、プラセボ投与群(n=106)の2群について3年間の介入試験が行われています。
以上2つの試験の被験者となった428名のOA患者は、試験開始時に、正常高値の血圧値あるいは高コレステロール値を示していました。
6カ月間の介入後、グルコサミン投与群とプラセボ群との間に、血圧値の変化に有意な差は見出されていません。(グルコサミン投与群:収縮期: -5±15 mmHg; 拡張期: -5±10 mmHg、プラセボ投与群:収縮期: -7±14 mmHg; 拡張期: -4±10 mmHg).
血圧が特に高い症例を対象にしたサブ解析でも、有意な変化は見出されませんでした。
次は、血中総コレステロール値、LDL値および血糖値についても、6ヶ月間、3年間のいずれの研究でもグルコサミン投与による有意な変化は認められていません。
同じく、特にコレステロールが高いあるいは血糖値が高い症例を対象としたサブ解析でも有意な変化は見出されませんでした。
さらに、血圧値およびコレステロール値について、正常値から異常値に変化した被験者の割合、あるいはその逆に変化した被験者の割合は、グルコサミン投与群とプラセボ投与群との間にも差は認められていません。
以上のデータから、グルコサミン投与は、血圧、血糖値、脂質関連指標に臨床的に有意な影響を与えないと考えられます。高血圧症や糖尿病や高脂血症で治療中でも、グルコサミンの併用は基本的に問題ありません。